農業を子どもが自慢できる職業に

球団選手が農業に助太刀
せとか収穫ピーク
農業を子どもが自慢できる職業に  田辺市上秋津の中山将誓さん(28)は、8㌶で梅とミカンをつくる複合農家。5年前から野球の関西独立リーグに属す「和歌山ファイティングバーズ」の選手を雇用しており、3月中旬にはピークを迎えた中晩柑の「せとか」や「清見」などを、父や選手2人と収穫した。  中山家で選手らが働くようになったきっかけは、父・仁視さん(53)が5年前「同球団の選手たちが地元で野球と農業バイトを両立して頑張っている」と聞き、JA職員の紹介で雇用契約を結んだことだった。  選手にとってオフシーズンや変則的な練習の合間にできる仕事は限られており、生産者側にとっても体力がある選手が農作業を手伝ってくれることは心強い。中山さんが複合経営に力を入れる背景には、1年間収穫を絶やさないことで、選手らを常時雇用できるようにという思いもあるという。  選手は入れ替わりで、昨年からは大前拓也選手(28)と岩本侑成選手(24)選手の2人が中山家で働いている。大前選手は経験の中で農業に興味を持ち、就農に向けて研修への参加も検討中だという。  中山さんは「球団の知名度はまだこれから。農業を頑張る選手たちを身近なチームとして、地域のみんなで支えたい」と話している。  「地元を大事に」という思いが強い中山さんの出荷先は、主にJA紀南のファーマーズマーケット「紀菜柑」。「一番おいしい時期に出荷したものを、タイムリーに食べてもらいたい」と語る。様々な品種を作り、利用者に個性の違いを楽しんでもらうこともやりがいだ。  4月中旬まで「清見」や「不知火」、濃厚な甘みが特徴の「せとか」などを出荷するという。