ブランドミカン「天」出荷本格化

ブランドミカン「天」の出荷本格化 糖度お墨付きに市場の引き合い強く
マルチなど生産現場も後押し
糖度アップのためマルチ被覆した園地で「上野早生」を収穫する那須守さん

JA紀南では今年産温州ミカンの出荷が本格化する中、レギュラー品より糖度を厳選したブランドミカン「天(てん)」に市場の引き合いが強く、ミカン全体の販売のけん引役の役割を果たしている。
 JAの「天」ブランドは、極早生の「日南1号」「上野早生」「ゆら早生」と早生の11月以降の出荷品の中から、それぞれレギュラー品より糖度を約1%高く設定。管内1選果場である総合選果場の糖酸度センサー選果機で選別し出荷している。
 高品質栽培に向けた生産現場も後押しし、マルチ被覆やフィガロン散布などの条件を課した「こだわりグループ」を結成し、生産者116人がこれに参加している。
 JAでは、今年産温州ミカンについて4850㌧の出荷を計画している。「天」については10月の極早生で230㌧、11月の早生で100㌧の出荷を見込む。12月以降は、早生の木熟の出荷に入り、糖度12%以上を「天」、13%以上を「極天(ごくてん)」として出荷する。
 今年は全国的に、梨の入荷減、柿の出荷遅れといった秋冬果実の情勢が聞かれるが、JAでは「主力ある温州ミカンに対して市場からの注文は堅調だ(販売部)」という。
 8月までが少雨だったため、糖度は平年より高く、9月以降は減酸も進み食味も良好だ。特に「天」は度保証とも言える品質のお墨付きがあることから、市場の注文が出荷量を上回る状況が出荷当初から続いている。
 JAのこだわりグループに加入し「天」ミカンの生産を目指す田辺市の那須守さん(56)も9月下旬以降、「日南1号」、10月中旬から「上野早生」の収穫を始めた。
 那須さんは「梅との複合経営だが、ミカン作りも非常にやり甲斐を感じる。冬場の土壌改良や剪定、夏場のマルチ被覆など、周年の努力の結果が秋の収穫だ。今年も消費者に安心して食べてもらえる味の良いミカンができた」と胸を張る。