「UME(梅)」を世界に広げたい

英語が堪能な女性担当に期待

加工部営業課の下岡三穂さん
梅加工を英語で実演した下岡三穂さん

 JA紀南には英語が堪能な女性営業担当がいる。加工部営業課に配属の下岡三穂さんだ。JAは梅やかんきつ類、加工製品などの海外での販路拡大をめざしており、「通訳なしで直接営業できる」と、活躍に期待する。6月には香港で英語のレシピを見せて梅を実演販売。「SUSHI(寿司)と同じように、梅もプラムでなく『UME』と言われるよう、本場の梅に自信を持ち世界に広げたい」と意欲を見せる。
 JAの青梅や加工製品の売り先はほとんどが国内。海外市場の開拓は、商談会に参加しても通訳を介した提案程度に留まり、取引の成立に至らないのが課題だった。このため英語のできる人材を探していたところ、下岡さんに出会い今年2月に採用した。
 下岡さんは、高校時代のアメリカ留学、ワーキングホリデー制度を利用してカナダで働くなど、6、7年の海外経験を持つ。帰国後も外国人と接する機会の多い職場で海外向けの仕事をしていた。
 加工部に配属されて以降、タイ・バンコクの展示会で梅加工品を英語でアピールし、その場で注文を得た。国内でも海外のバイヤーとの商談会に積極的に参加している。
 6月には、田辺市の職員と香港に出張し、JA紀南が青梅を輸出販売する香港の百貨店で2日間の実演販売を行った。梅酒の提案の際に、英語の加工レシピを使い、「黄色い梅は傷んでなく、熟していて、まろやかでフルーティーな味に仕上がる」と説明した。「購入者は女性が多く、美や健康への意識が強いので、機能性の多い梅の需要はもっと広がるだろう」との印象を受けたという。
 榎本義人加工部長は「英語が話せるため、海外の人に生の言葉でアピールでき、梅の機能性や安全、安心面を具体的に提案できるのが良い。以前より格段に多くの輸出情報が入り出した」と評価する。
 下岡さんは7月28日から31日にかけても商談会のためベトナムに出張した。