JA紀南広報誌

2016年9月号p03-01

2016年9月号もくじ

農を耕し、地域を起こす『農人』【No.37】  

自宅近くの畑で夏野菜の世話をする竹中律さん。「場所が空いたらすぐに何かを作ること」と直売所出荷のツボを語る

すさみ町口和深(すさみ支所管内)
竹中 律 さん

 直売所が農家の生活を変えるケースは多々見られる。ひまわり会の会長、竹中律さんもその一人だ。レタス農家に嫁ぎ、勤めの夫を支え農業に勤しみ、今は直売所の波に乗って野菜、寿司、餅など出荷三昧の暮らしを楽しむ。

「すさみ地場産を発信したい」
野菜、寿司、餅など出荷三昧  

 「かしき(炊事)だけやったらええからなと言われて来たはずなんですけど…」と竹中律さんは笑う。隣町の串本町和深から夫・登さんの元に嫁いで来た。約束事だった“かしき”はもちろん、2人の子どもを育て、夫が勤めていたため義父母についての日々の農作業、そして介護と、気がつけば早40年の歳月が流れた。
 農業の技量も経験とともに上達していったという。嫁いだ頃はレタスの全盛期で、義父が切ったレタスを選別・包装し、車の免許の無い義父に代わり軽四で農協に出荷した。花のストックも100箱近くを朝までかかって荷造りの作業をしたこともある。米作りもトラクターやコンバインまで運転できる腕前が身についた。
 「今だったら考えられないほど苦労した」、とは言え「あの頃は良かった」という気持ちが同居する。「忙しくする親を見て、子どもはおのずと手伝ってくれた」とも。
 現在は約1・1㌶の水稲と、裏作にハクサイ、ダイコンなどの冬野菜、家の近くの畑やハウスではナス、トマト、オクラなどの夏野菜や、ショウガ、サトイモまで、ありとあらゆる野菜を作る。
 野菜の出荷先は、JAすさみ支所の直販所「ひまわり会」とすさみ町の給食センターや社会福祉協議会だ。お客様の「おいしかったよ」の言葉が励みになっている。
 「ひまわり会」はJA合併前の平成12年に始まった。当初は月2回だったが、合併後の平成17年、集出荷場の一角に約27平方㍍の常設店舗が完成。毎週月水土曜の朝9時から昼1時まで開く。先輩の古田信子さんの後を継ぎ平成24年から会長を務めている。
 会員は48人で、平成27年度の販売高は前年比の113%の1075万円。昨年7月にできた道の駅すさみの販売コーナーで扱うかんきつ類や梅干し等がひまわり会の販売高を押し上げた結果だ。
 一方、従来の朝市の販売高は停滞しており、竹中さんも「店がマンネリ化していないかと点検が必要。店の内装であったりイベントであったり、何かアイデアが欲しい」との気持ちが強まっている。
 「個人で無く、共同で取り組む『ひまわり会』ブランドとして餅類などの加工品は作れないだろうか」「鳥獣害に遭うこと無く、例えばサルにも取られない作物は無いだろうか」と思いを巡らせる。
 竹中さん自身は野菜の他、寿司や餅などの加工品も出荷する。さんま寿司、巻き寿司などは、和深の母親仕込みだという。子どもの頃から魚をさばくのが好きだったことが今に生きた。秋から冬の芋餅も固定客が着いている。
 昨年は豚の生姜焼き風に味付けした「イノブタの押し寿司」を開発し、「今度は赤イカで」と発想は止まらない。それらの行動には「すさみの地場産を発信したい!」との思いが強く込められている。
 竹中さんの信条は「思い立ったらすぐにやる」だと言う。「今しかできないことを逃したら、すべて流れるが、その時々を生かしたら成果が出るはずだ」と考える。直売所出荷では当然「人に喜んでもらいたい」との気持ちを大切にしている。(文・写真=山本和久)

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