JA紀南広報誌

2016年6月号p03-01

2016年6月号もくじ

農を耕し、地域を起こす『農人』【No.34】  

「ミカンもこれからは味重視」と、糖度の乗りやすい条件の園地に8年前に植えた早生ミカンと田中良正さん

田辺市中芳養(中芳養支所管内)
田中 良正 さん

 今年4月の青年部総会で新部長に選ばれたのは平成27年度の副部長、田中良正さんだ。梅・ミカンの複合経営。父親も青年部長経験者で、農家にとってJA組織のある意味を認識し活動に参加する思いは子に受け継がれている。

経営は梅・ミカンの2本柱で!
今年度 JAの青年部長に就任  

 高校を卒業後、3年間の自衛官を経て、実家に戻った。就農を決めてのことだが、まだ父親も若い。そんな農業後継者の受け皿となったのが、JA紀南が運用していた「担い手嘱託雇用制度」で、田中さんも制度を利用した。
 平成11年から5年間、JAの嘱託職員として稲成支所で購買担当として働いた。先輩の手ほどきで軽トラで肥料や農薬を配達した。
 稲成も梅やミカン栽培が盛んであり、「仕事をしながら梅干しや青梅、極早生ミカンや木熟など年間の農作業の流れを知るのには打って付けだった」と振り返る。何より、稲成地区の同世代や年上の農家とも交流できたことが、後にも役立つことになった。
 結婚を挟み、担い手職員期間が満了した平成16年に就農。26歳の就農は、田中さんにとって「ちょうど良い年だった」という。
 現在の経営は梅とミカンで約2・5㌶だが、果樹複合というスタンスは、父・一正さんの時代、そして自身の就農時からも変わらない。担い手職員の頃は梅ブームの真っ只中で、梅の拡大に心ひかれたこともあったが、今は梅とミカンの2本柱でミカンを堅持してきた父親に「感謝している」。
 「南高」中心に1・5㌶ある梅は、約6割は梅干しにし、残りはJAに出荷する。1㌶のかんきつ類は「日南1号」「ゆら早生」などの極早生が30㌃、早生は55㌃、他に晩柑(不知火)もある。複合経営ゆえ、「段取り良く目の前のことを回していくので精一杯」。親子2世代の4人でフル稼働だ。
 梅干しや生梅の価格が停滞する中、自ずとミカンに力が入る。早生温州のうち16㌃は、8年前に植えた糖度の乗りやすい園地条件で、マルチ栽培も視野に入れる。
 園地の若返り対策も計画的に進めている。幼木・成木・老木の割合は、梅で2・6・2、ミカンで3・5・2。「毎年の生産量を維持し、あわせて効率化をはかる。これしかない」と考えている。
 就農と同時に入ったJA青年部では、今年度、部長を任された。中芳養支部の副支部長、支部長、本部副部長を経て4年目での大役だ。「自分自身、青年部で育ててもらった。支部の梅剪定やミカンの接ぎ木の請け負いなどの活動を通じ、後継ぎ同士が自然と交流できる」と青年部の意義を実感する。
 青年部は、支部活動をベースにしているが、本部では梅などの農産物のPR活動はもちろん、10ある支部間の交流の促進、JA女子職員とのボーリング交流などで活動の活性化を図っている。
 全体の部員数は176人と頭打ちだが、それでも県内JAでは最大規模だ。その中で、支部毎の部員数に格差が生じ始めており、田中さんは今年度、部員数を維持するため谷々の支部の枠組みの再編成を提案したいと考えている。
 「TPPや輸出、6次化など競争に打ち勝つ農業をと政府は言うが、それは大規模農家の話。紀南の農業は中小農家が中心で、当然、JA紀南の組織は大事になる」との持論がある。「青年部も、農家のために役割を発揮できるJAとなるための大切な組織だ」と言い切る。(文・写真=山本和久)

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