JA紀南広報誌

2016年5月号p11-01

2016年5月号もくじ

梅の効能など研究成果報告  

新加工技術の可能性も発表
わかやま産業振興財団  

梅の機能性や加工技術などが発表された成果報告会

 (公財)わかやま産業振興財団はこのほど、「地域イノベーション戦略支援プログラム」として取り組んでいる梅の効能の活用や機能性表示による高付加価値化、新しい加工技術開発などの平成27年度の事業成果を報告した。梅酢で精製した梅ポリフェノールの整腸・抗疲労効果が実証されたことや、梅を過熱水蒸気で蒸す加工技術が無塩の梅干しやスイーツに活用できるなどの成果があった。
 和歌山県が24年度、文部科学省の「地域イノベーション戦略支援プログラム」の採択を受け、同財団が梅などの果樹類の保健機能成分の解明や科学的根拠の蓄積、加工方法の開発に取り組んでいる。事業は28年度までの5カ年。
 報告会は、事業を支援・協力する田辺市で3月8日(会場=JA紀南中央購買センター)、みなべ町で9日(会場=うめ振興館)であり、行政、JA、生産者らが参加した。
 財団の前田育克プロジェクトディレクターは「地域にある知的な財産を活用できるシステムを事業で構築したい」と強調。「和歌山の梅は静岡の茶のように圧倒的地位がある。加工技術も蓄積され、世界農業遺産の認定も受けた。梅産業を和歌山の知的産業として地域活性に生かしたい」との意気込みを語った。
 医療分野で研究する中村誠コーディネータは、梅の保健機能性(効能)について「梅は体に良いイメージが定着しているが、その機能性の科学的根拠が必要だ」とし、梅に含まれるクエン酸やペクチン、梅酢から精製した梅ポリフェノールの研究成果を報告した。
 梅ポリフェノールの機能性について、マウス試験で整腸や抗疲労(持久力向上)効果が確認された他、「抗酸化機能も高く、ビフィズス菌が増殖するなど腸内細菌の改善効果も分かった」と述べた。
 中谷吉隆コーディネータは、梅の新たな加工技術に関し「過熱水蒸気による加工技術を確立した」と発表。260~300度の高温の水蒸気で短時間で蒸すことにより、処理前と比べて機能性成分のペクチンが3・3倍、梅ポリフェノールが1・3倍に増えるとのデータを紹介した。塩を使わず梅の果実を乾燥・脱水させる技術であり、「無塩の梅加工品や、梅スイーツの商品化への可能性が膨らむ」との見解を示した。
 そのうえで中谷コーディネータは「集積した梅産業の資源を地の利として活用し、栽培・加工・販売面の総合力を発揮すれば和歌山は勝てる」と力を込めた。
 鈴木利雄コーディネータは、機能性食品表示による商品の高付加価値化について解説した。

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