JA紀南広報誌

2016年5月号p04-01

2016年5月号もくじ

みなべ・田辺の梅システム  

世界農業遺産でフォーラム
梅産業と地域振興へ、活用考える  

JA紀南の生産者や役職員も参加、世界農業遺産の活用で意識を一つにした認定記念フォーラム

 JA紀南とJA紀州管内を含む「みなべ・田辺の梅システム」の世界農業遺産認定を受け、同推進協議会と県は3月25日、みなべ町の紀州南部ロイヤルホテルに生産者や行政、JA関係者ら約450人を集め認定記念フォーラムを開き、遺産を活用した梅産業や地域振興を考えた。

生産者・行政・JAなど450人参加  

 約400年にわたり養分に乏しい礫質の斜面で、薪炭林を残しつつ、高品質な梅を持続的に生産してきたのがみなべ町から旧田辺市にかけた「みなべ・田辺の梅システム」。平成26年に認定に向けた協議会を立ち上げ、昨年12月に国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定された。
 推進協の委員を務める本田勉組合長も「これからが本当のスタートだ」と産地全体の連携の必要性を強調する。
 人で埋め尽くされた会場、推進協会長の小谷芳正みなべ町長は「認定を機に、梅の消費宣伝や、観光にも打って出たい。地域の経済が潤うよう、行政のみでなく皆でがんばろう」と呼びかけた。

生産者や各業界からの意見を出し合った公開討論会

 国際連合大学の上級副学長の武内和彦さんは遺産認定の意義と活用で講演。「環境や伝統にマッチした農業にしようと、途上国を中心に進められた世界農業遺産は、里山で家族農業中心の日本でも十分活用できる」と述べ、日本で認定されている8地域を紹介した。
 その選定基準は、食料と生計の保障、生物多様性と生態系機能、知識技術と伝統、農文化、景観と土地・水資源であると述べ、それらに十分適合した「梅システム」を高く評価した。
 「農業遺産は地域振興につながる生きた遺産だ」とも述べ、今後の活用について、農産物の付加価値やブランド力の向上、環境にやさしい農業や6次産業化の推進、グリーンツーリズムとの相乗効果などを挙げ、「これだけの財産があるとの誇りを皆が持ち、まとまって地域全体のブランド化を考えて」と呼びかけた。
 外国人の誘客事業を行う「ジャパンインバウンドソリューションズ」(東京都)の社長・中村好明さんは、インバウンド(外国人旅行客の誘致)の視点で農業遺産の活用を説明。
 「インバウンドは日本に集まって来るヒト、モノ、カネ、情報のすべてだが、農業遺産認定はまさにチャンスだ」と述べ、外国人の誘致は、個人単位でなく、食・農・流通・製造まで地域全体で連携して対応するよう求めた。
 公開討論会は、梅農家や観光関係者、県外のイベント企画チームの4人が登壇し、中村さんが進行した。
 東京の企画チーム「バンブーカット」から、竹内順平さんは「せっかく世界の宝物だと認定されたのだから、もっと自慢を。アピールできるものや、ストーリー性のあるものを作り、盛り上げていくのは皆さんだ」、切替瑶太さんは「梅干し嫌いが今は好きになった。そんな奥深さのある梅の良さをもっと若者にアピールしてほしい」と語った。
 田辺市熊野ツーリズムビューローのプロモーション事業部長・ブラッド・トウルさんは外国人来訪者の対応を取り上げ、「英語の表記を、Ume(梅)、Umeboshi(梅干し)と統一することが重要で、第一歩だ」と述べた。
 みなべ町の渡口農園・渡口丈二さんは「梅産業みたいに、これほど一つの物に地域が関わる産業は無い。認定はここの梅が世界に認められた証で説得力もある。地域がもっと一つに団結して、国内外にアピールしよう」と呼びかけた。

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional