JA紀南広報誌

2016年1月号p26-02

2016年1月号もくじ

第117回 健康百科  

高齢者の農作業はここに注意
佐久総合病院名誉院長/松島松翠  

 現在、日本の農業の多くは高齢者が担っています。農業機械化も進み、高齢者が機械を扱うことも多くなってきて高齢者の事故が増えてきました。特にこれは80歳以上に多いといわれています。
 まず一般の農作業の場合、肥料などの重量物の運搬の問題があります。20kgの肥料袋を一輪車から降ろそうとして転倒し、背骨の圧迫骨折を起こした62歳の女性の例があります。通常「人力だけで取り扱う場合は、体重の40%以下、さらに女性の持ち上げ能力は男性の60%」とされています。20kgの肥料ならば小分けにして袋に入れ直すことが必要です。
 高齢者の農作業では、滑って転倒することが多いので、頭を保護するためにヘルメットや滑らない安全靴を着用するのが望まれます。これは農作業時の最低のスタイルです。
 さらに果樹農家では、高所作業が多くなります。脚立やはしごからの転落事例は多くあります。農作業現場では、きちんとした水平面に脚立を設置できる場面はほとんどありません。必ずでこぼこがあり、四脚、あるいは三脚の全てを同一平面に置くことはほとんどありません。産業衛生の分野では、「1mは一命(いちめい)取る」といわれます。つまり、わずか1mの高さからの落下でも一命を失うことがあるということです。
 最近は機械化による事故も増えています。最も多いのは草刈り機によるもので、次いでトラクター、軽トラ、コンバイン、チェーンソーの順です。高齢者はこのような農機具を使用するときは、万一のときのことを考えてどんなに近い場所であっても、必ず携帯電話を携帯することが重要です。
 それから服装のことですが、手拭いを腰にぶら下げたり、首に巻かないこと。つまりヒラヒラした物があると、場合によっては農機具に巻き込まれて、大けがをすることがあるからです。

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