JA紀南広報誌

2016年1月号p03-01

2016年1月号もくじ

平成28年 新年のごあいさつ  

組合員の力を農協に結集
助け合い、より良い地域へ  

代表理事 組合長
本田 勉

 新年明けましておめでとうございます。組合員はじめ地域の皆様には、心健やかに輝かしい年の初めをお迎えのことと、役職員一同心からお慶び申し上げます。
 平成27年は、10月14日に第27回JA全国大会、11月18日に第28回和歌山県JA大会と、3年に1度のJA大会が開かれました。平成25年から課題とされていた農業改革・農協改革が、26年5月に規制改革会議の意見発表により農協法の改正に大きく動き始めたことを受けた形で、JAグループはその年の11月に「JAの自己改革」を決定しました。
 JAグループの「自己改革」をもって全国農業協同組合中央会は、政府の「農協改革案」との調整を図ります。全中は、政府・与党との協議の結果、農協法改正の大枠について了承しました。
 内容についてはご高承のとおり、「JA全中は一般社団法人に」「監査は選択制に」「准組合員の事業利用規制は見送りに」等と決定しました。
         ◇ ◆ ◆ 
 そして政府は、衆参の国会審議を経て27年に改正農協法を成立させました。後は28年4月1日の法施行を待つばかりとなりましたが、改正法では30年の全中の社団法人化と県中の農協連合会への移行、31年には公認会計士監査へ移行と、総代会等で理事は認定農業者・経営のプロから過半数を選任、さらに32年には准組合員の事業利用規制の結論を得ることが明記されています。
 これらは農協の問題で、農家組合員や地域には関係のないことだと思われるかもしれませんが、そうではありません。
 例えば監査をとってみましょう。今までは農協法の裏付けの下、全国監査機構(中央会)が単位農協の監査・指導を行っていましたが、改正農協法の施行後、31年度以降は法的な監査の権限が失われますし、農協独自の経理についても認められなくなる恐れがあり、結果として、自己資本比率が悪化して信用事業の併営が認められなくなる可能性があります。
 そうなりますと単協独自の貸し出しは、自己資本の範囲内ということになり、選果場の建設等には農林中金、あるいは信連の貸し付けを受けなければならなくなり、組合員の皆さんには多大のご迷惑をお掛けすることになります。
 私は、農協はあくまでも総合農協の形が望ましいと考えています。
         ◇ ◆ ◆    
 今回の農協改革は、農業者の所得増大がメインになっていますが、政府の計画はどうでしょうか?
 まず、政府は次の5つのKPI(成果目標)を立てています。
 それは、①今後10年間で全農地面積の8割を担い手に集積②今後10年間で担い手の米の生産コストを全国平均の4割削減③今後10年間で法人経営を2010年比4倍の5万法人に④6次産業化の市場規模を1兆円から2020年に10兆円へ⑤2020年に農林産物・食品の輸出額を現在の4500億円から1兆円へ、であり、目標を達成すると10年間で日本の農業所得は倍増するとしています。
 これらの根拠となる計算は次の通りです。年2%の経済成長効果で0・7兆円、米の生産費4割削減で0・5兆円、6次産業の販売額を10兆円にすると所得は2・4兆円に増加するため、0・7+0・5+2・4=3・6兆円となります。 2012年の農業・農村所得は3・4兆円ですので、およそ同額が増加したこととなり、結果として倍増したこととなるというものです。
 しかし、内容をよくご覧いただければ、計算の対象とされているのが全て大型の農業経営であることに気づくと思います。
 つまり政府は、TPPを締結することにより、農業経営単体で輸出もできるようにしなければ経済発展に取り残されてしまうと考えているのでしょう。
 小さな家族経営はその犠牲になってもやむを得ないとでもいうのでしょうか。そして、日本の食料は、輸入品の安い農畜産物で賄うのでしょうか。
 しかし、国内で安心・安全な農畜産物を待っている消費者の皆さんがいます。私たちは責任を持ってそれに応えなくてはなりません。その方たちがいる限り、家族農業は滅びません。
         ◇ ◆ ◆    
 農協とそれを構成する農家組合員は、戦後の食糧難の時代を全力で支えてきました。現在の日本の経済発展を、食料・土地・人的資源で支えてきたのが農業なのです。
 輸出も大事ですが、輸出だけを捉えれば、それは農業ではなく経済的な事業であると思います。私たちはあくまでも国民の食料を、いかに安定的に供給するかに心を砕かなければならないと思います。
 戦後、アメリカの自由主義が日本を席巻し、個人の自由が幅を利かせるようになりました。農業も自作農制度が創設され、農家は小作のみじめさから解放されました。努力をすれば所得が増え、生産量も飛躍的に増えましたが、同時に資本主義が農業と地域を変えて行きました。生活の基本がお金になってしまったのです。農業の近代化と並行して、結いの慣習もなくなってしまいました。
 私たちはもう一度、農業・地域についてよく考えなければと思います。
 農業は自然の恵みを受けて成り立つ職業ですが、反面、自然の洗礼を一番受ける職業でもあります。大きな資本を投入した企業的農業も当然ありますが、日本の食料を支えるのは家族農業です。自然の脅威にも家族で立ち向かってきたのです。そしてそういった農業者の集まりが農協なのです。
 地域社会は、いろいろな人で構成されています。職業もいろいろで、農業などの第一次産業もあれば加工などの第二次産業、サービスや運輸などの第三次産業に従事される人、さまざまな形で成り立っています。
 私たち農協に集う組合員は、地域で助け合ってより良い地域社会をつくるのが使命です。地域社会を守り、国民に安全で安心な食料を安定的に供給するのが務めです。
 国の使命は国民を守ることです。経済発展も国民の生活の向上を考えれば必要なことではありますが、経済至上主義は弱い立場の人をさらに追い詰めていくことになりはしないでしょうか。政府にも一考をお願いしたいところです。
         ◇ ◆ ◆    
 JA紀南はいま、加工事業分野では新しい商品をメーカーの協力を得ながらいろいろと研究・試作をしています。もちろん輸出も視野に入れていますが、主力は国内のすべての立場の皆さんに、安心して美味しく食べてもらうための研究・試作です。
 販売事業の分野では、消費者の要求を満たすことを主眼に、消費動向に注視しています。その情報を指導部につなぎ、生産販売委員会や生産部会などを通じて組合員の皆様に広くお繋ぎし、所得を向上するためのお手伝いをさせていただいているところです。
 ミカンの品質の高い物は、輸出も視野に入れながら、国内でも特別な需要に対応しています。これからは私たちの地域においても、農畜産物の生産力の維持・強化が特に必要になります。

さまざまな力を農協へ結集して時代の変化に対応していきたいと思っています。平成28年もどうかよろしくご指導、ご協力賜わりますことをお願い申し上げ、新年のごあいさつといたします。          (平成28年元旦)

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