JA紀南広報誌

2015年5月号p03-01

2015年5月号もくじ

農を耕し、地域を起こす『農人』【No.22】  

木熟で味を乗せた「不知火」を手に北山紀子さん。「毎日の紀菜柑通いが楽しく、張り合いになっている」と笑顔で語る

田辺市新庄町
北山 紀子 さん

 JAの拠点直売所として「紀菜柑」がオープンして丸8年。出荷者は自分の農産物の持ち味を出そうと努力している。北山紀子さんの場合は木熟を基本としたかんきつ類やスモモなどの周年的な出荷だ。何より味に力を注ぐ。

「美味しかった」の声が励み
かんきつ類中心に木熟で出荷  

 勤めを辞めて専業になった夫の明広さんと共に農業に励んでかれこれ30年になる。現在はかんきつ類と梅、スモモなどを栽培し、梅・スモモのJA共選出荷と、メインに据えているファーマーズマーケット「紀菜柑」にはかんきつ類とスモモを出荷している。
 今や北山さんにとって切っても切れない存在である「紀菜柑」のオープンは平成19年3月。知人に誘われ「出せる時に出せばいい」程度の気持ちの出荷者登録だった。
 実際、オープン半年間は「出しても売れなかった」。波に乗るまで葛藤はあったという。「店内やバックヤードで動く職員や従業員の苦労が身をもってわかった」とも振り返る。だが半年して、秋に出荷する「日南一号」の頃から売れ行きの好転を感じ始めた。
 紀菜柑に出荷して「美味しい物は売れることが日に日に分かってきた」。同時に「味に責任がある」ということも知った。それが「もっと美味しい物を作りたい」とのやり甲斐につながっていった。
 紀菜柑出荷の基本を味に置いているため、温州、中晩柑、スモモのすべてを木熟で出荷する。その年々の天候にも左右されリスクは大きいが、従来の共選出荷ではできなかった、採れたて、地場産直売の特性を存分に発揮した“食味重視の出荷”を追求する。
 かんきつ類は9月からの極早生、早生ミカン、年明けからは中晩柑のポンカン、ありあけ、不知火、4月以降はせとか、清見、三宝と続く。スモモは大石早生、シンジョウ、ソルダムだ。出荷物が無いのは年間で8月のみだという。
 北山さんは食べ頃かを食べて確かめて出荷している。極早生の「日南一号」は11月下旬まで続き、その時の糖度は16度まで上がっていた。「不知火」や「三宝」、「清見」は5月の連休でもある。
 夫の明広さんも味の追求の必要性に共感して栽培に打ち込んでくれるという。明広さんは「農作物も人と一緒で、野菜も肉も魚もバランス良く食べないと」と考え、肥料は魚粕など5種類の有機質肥料を使用、土づくり資材として完熟堆肥やアヅミンの施用も怠らない。除草剤は使わない主義だ。
 北山さんの朝は紀菜柑で始まる。8年間、ほぼ毎日通い続けて来た。店頭に“北山紀子”の名前が年中あることから、リピーター(再購入者)も定着し「名前も覚えてくれるようになった」という。
 「自分は褒められて伸びるタイプ」だと自己分析する北山さん。「美味しかった、また買いたい」との声を励みにしている。大阪から月2回程度、紀菜柑に来店する利用者が「北山さんに会いたい」と訪ねて来たこともあった。
 現在、紀菜柑運営会の運営副委員長を務める。「紀菜柑は出荷者の仲が良いと思う。人と人の競争とかは無いけれど、いざ味や品質となれば出荷者皆が競争だ。仲間の味を見て刺激を受け、頑張ろうと思う」と話す。軌道に乗るまで共に苦労してきた出荷者や職員・従業員に至るまで紀菜柑の仲間のつながりの深さを肌で感じている。
 「紀菜柑は私の生きがい、生活の一部」。北山さんは満面の笑みを見せる。(文・写真=山本和久)

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