JA紀南広報誌

2015年2月号p03-01

2015年2月号もくじ

農を耕し、地域を起こす農人【No.19】  

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 レタス、トウモロコシに加え、水田の借り入れで水稲を拡大してきた山本孝一さん。このほど今年度の「日本農業賞」和歌山県代表に選ばれた。良きパートナーである息子とは常に考えを共有し、さらなる農業の進化をめざす。

白浜町中(とんだ支所管内)
山本 孝一 さん(53)

「日本農業賞」の県代表を受賞
到達点でなく一つのステップに  

 平成27年1月9日、和歌山市のJAビルで「第44回日本農業賞」の表彰式があり、JA紀南が推薦した山本孝一さんが個別経営の部で県代表になった。「立派な農業をしているとは思わないが、有り難い」と謙遜するが、農業の経営・技術と地域農業への貢献が認められた結果だ。山本さんは現在、とんだ生産販売委員長を務める。
 山本さんは昭和63年、27歳で就農した。現在の経営の柱は60㌃のレタス、26㌃のトウモロコシと、8・8㌶を作付けする水稲だ。
 水稲は長男・敦史さん(26)が平成20年に就農した時から水田の借り入れを拡大し、販路も「紀菜柑」を増やし生産量の3分の2にまで増えている。規模拡大は7年前のコンバインと田植機の買い替えが転機になった。すでに乾燥機、籾すり機もあったため、農機を有効活用し投資を回収すべく、地元での借り入れを増やしてきた。
 父が作っていたレタスへの執着も強い。「手間が掛かるし、肥料や土づくりなどのバランスが難しい品目だ。レタスができる農地は何を作ってもできる」とこだわる。
 品質の良いレタスを「玉がフワッとし、甘みがあり、食べた時、水分が弾けるような新鮮さがあるものだ」と説く。そんなレタス作りへ、土づくりを重視し、土にジワッと効く堆肥や鶏糞の投入の他、近年ではレンゲを活用している。
 トウモロコシは米の減反の転作として約30年前から作っていた。近年の品種は甘くてボリュームがあるゴールドラッシュ。「良い販売方法はないか」と、山本さんら生産者がJAの担当と協議し、市場販売から直売へと切り替えた。
 特に山本さんのトウモロコシは、レタスで使ったマルチとトンネルを活用した直播き栽培が特長。直播きで心配な発芽率の低下も、土の鎮圧を工夫して克服した。丈夫な茎葉ができる直播きを生かし2本採り(通常は1茎に1本)を試み収穫量の向上につなげている。
 いま後継者の敦史さんが加わり、さらに農業に熱が入る。「息子は共に成長していくパートナーのようなもの」。考えを共有するため農作業も2人で行動し、「毎年何かに挑戦しよう」と相談する。水田の裏作で始めた切り花用ナバナも今年で2年目、4月出荷の一寸ソラマメには今年初めて取り組む。
 これまで山本さんの農業の礎(いしずえ)となってきたのは、6年間務めた地元のガソリンスタンドの経験だ。近くに競合店があり、「どうすればお客様が入ってくれ、気持ちよく帰っていただけるか」と考えた。先輩から「何でもええから、お客様と話をせえ」と教わった。この経験が農業に生き、「どうやって農作物でお客様に喜んでいただけるか。少し値段が高くても良い物は買ってくれる」との信念を持つようになった。
 山本さんは今の農業を完成形とは思っていない。特に失敗した時こそチャンス。「失敗があればこそ原因を見つけ、その穴を埋めようと解決策を考える。知識だけでなく、時間は掛かるが実体験で結果を導き出すことが大事だ」と語る。日本農業賞の受賞も当然、到達点でなく一つのステップとして捉える。(文・写真=山本和久)

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