JA紀南広報誌

2014年8月号p06-01

2014年8月号もくじ

第3次中期計画スタートへ  

「第11回通常総代会」全議案可決
TPPや農協改革に対する宣言採択も  

 JA紀南は6月21日、上富田町の上富田文化会館で「第11回通常総代会」を開いた。総代523人(本人出席198人、代理人出席1人、書面出席324人)が議案審議に参加し、平成26年度スタートの「第3次中期経営計画(3カ年計画)」など全12議案を可決決定した。7月に山場を迎えるとされるTPP交渉での国会決議の実現や、政府の規制改革会議が答申した「農協改革」に対してはJAグループ自らが改革と協同組合の使命発揮に取り組むとの宣言も採択した。

総代会レポート  

定刻の午後1時30分、中家徹会長が総代会成立の旨を告げ、第11回通常総代会は開会した。

中家会長が開会あいさつ  

 開会あいさつに立った中家会長は、農政の最大課題であるTPP交渉が7月に山場を迎えるとされる中、「関係団体と連携して、衆参農林水産委員会決議(国会決議)を遵守するよう運動を展開する」と述べた。
 5月以降、政府の規制改革会議が公表しメディアでも取り上げられている中央会制度廃止などの「農協改革」についても、「JAの役割や理念、現場の実情を無視し、JAを解体に追い込むような内容で到底容認できない」とし、本来的にJA自らが農業、農村、地域を守り発展しJAの存在価値を高めるよう努力するとの決意を表し、組合員のJA結集を呼びかけた。
 平成25年度のJAの事業活動については、円安による資材高騰、大豊作となった梅の価格低迷、資産の減損会計処理などにより「総じて厳しい結果となった」とする一方で、重要な経営指標である自己資本比率は15・17%、固定比率は138・58%と健全性を維持していると報告した。
 総合ポイント制度(クミカ)による組合員加入運動については、合併時2万9千人余りだった組合員数が平成25年度末で5万人を超えたことに触れ、「組合員が量的に拡大し、准組合員が全体の76・9%、女性組合員が56・5%に達するなど組織基盤が変容してきた。今後は組合員とのパイプを太くし、JAへの結集力を高める活動が大切で、支所や事業所を拠点とした活動を積極的に展開したい」と述べた。
 支所機能再編については昨年4月の中央支所オープンにより当初の構想が実現し、その後二次再編の検討を進めていると報告した。
 この日議案として上程する第3次中期経営計画案については「取り巻く環境が激変する中、10年先を見越した中期計画で、JA紀南は引き続き『地域農業』『地域社会』『JA』の3つの元気づくりを柱に取り組む」と語った。

「農業を元気に」と真砂市長  

 来賓の中で、真砂充敏田辺市長は地元市町長を代表してあいさつ。「アベノミクスと言っても地方は好影響を実感できていない。規制改革会議による経済対策も分かるが、日本が元気になるには、地方、とりわけ第一次産業、つまり農業を元気にせねばならない」と力を込めた。
 梅最盛期の中、市長は「行政も、インフルエンザ抑制やクエン酸など梅の機能性もアピールし、梅の販促PRに取り組んでいる。今年4月からのふるさと納税の梅干し贈呈も5月末で247件に達するなど大きな反響だ。JAと一緒になって農業振興に努力する」と熱意を見せた。
 県議会議員を代表して立谷誠一県議は、梅産業の世界農業遺産登録について「梅を生業としている地域が梅に誇りを持てる取り組みだ。年内に申請し来春の登録をめざしてがんばる」とJAにも取り組みへの協力を求めた。
 このほか岩城徹西牟婁振興局長が仁坂吉伸県知事のメッセージを、山﨑龍平中央会専務が中家徹JA和歌山中央会・連合会会長の祝辞を代読した。山田俊男参議院議員のメッセージや祝電も会場に披露した。

議長に栗山・楠本両総代  

 午後2時14分、中家会長が議長選任を諮り、「会長一任」の声を得て、議長に栗山由紀子総代(秋津川)と楠本良蔵総代(とんだ)を選任。議長団はさっそく書記に稲葉睦典(東支所)・田中香(とんだ支所)の両職員を指名した。
 楠本議長は議案審議に入り、報告事項「平成25年度貸借対照表、損益計算書および注記表の内容並びに全国監査機構の監査報告および監事の監査報告について」、第1号議案「平成25年度事業報告、剰余金処分案の承認について」を上程し、坂本和彦常務が決算や減損会計処理、剰余金処分案など平成25年度の事業活動結果の概要を説明した。
 続いて尾﨑陽久常勤監事が「独立監査人の監査報告書」を朗読、東谷和己代表監事が監事団を代表して監査報告を行い、議場の質問はなく、可決決定した。
 楠本議長は第2号議案「定款の変更について」を上程。定款変更は出席総代の3分の2以上の賛成が必要な特別議決である。小幡博巳常務が、反社会的勢力との関係遮断の社会的要請や会長の職務権限見直しに関する定款変更である旨を説明し原案通り可決した。
 続く第3号議案「農業経営規程の変更について」はJAの農業経営事業の実施地区の限定を外すための規程変更、第4号議案「農地利用集積円滑化事業規程の変更について」は農業経営基盤強化促進法改正への対応やJAの農業経営事業を軸とした農業研修制度創設のための規程の変更であると、小幡常務が説明し原案通り可決した。

中期経営計画案を上程  

 午後3時、議事進行は栗山議長に交代。第5号議案「開発計画の設定について」を山本治夫専務が説明し原案通り可決した。
 第6号議案「第3次中期経営計画の設定について」と第7号議案「平成26年度事業計画の設定について」は関連議案として、山本専務が一括して説明した。
 第3次中期経営計画は平成25年度、アンケート調査により正組合員のほか、准組合員、利用者、役職員まで幅広い声を集め、また各組織協議を経て策定した平成26年度から28年度までの3カ年計画である。
 山本専務は計画に掲げた、地域農業、地域社会、JAそれぞれの10年後のめざす姿と3年後の到達目標を説明。平成26年度の単年度計画も中期計画に沿い策定したことを申し添えた。
 議案説明の後、この日の総代会で初めての発言があった。濵田稔総代(栗栖川)は過疎化や高齢化が進行している農村地帯とJAの行く末を危惧し「組合員が農産物をJAに出荷することだけをやっていてもJAは生き残れない時代になっている。地域のあらゆる問題について、人材を抱えているJAが先頭に立って引き受けていく、事業化していくということに、JAが生き残っていく道がある」と発言した。この後、2つの上程議案は可決した。
 第8号議案「役員補欠選任について」は鈴木孝司常務が説明。今年2月から理事47人のうち1人が欠員となっていたための補欠選任議案であり、すぐに投票に入った。栗山議長は開票立会人に葉糸脩祐総代(新庄)、日髙明宏総代(白浜)、前田佳子総代(日置)の3人を指名。開票の結果、候補者の田上卓司さん(上富田)が補欠選任された。
 第9号議案「平成26年度における理事報酬の決定について」、第10号議案「平成26年度における監事報酬の決定について」も鈴木常務が説明し、総代の意見は無く可決決定した。
 第11号議案「理事の退職慰労金の支給について」を鈴木常務が説明したところ2人の総代が質問した。濵田稔総代(栗栖川)は「責任のある仕事をして受け取るべき慰労金なら金額を明らかにできるはず」、柏木静夫総代(日置)も「費用を支出する訳だから平均額だけでも公表すべき」と金額等の開示を求めた。
 答弁に立った山本専務は「個人情報に関わるため金額公表は問題がある」と前置きしつつも、慰労金の支給方法等は支所で閲覧できることと、算出方法も年報酬額の12分の1の額に就任年数を乗じた金額であることを説明し、質問者の理解を求め、この議案も可決決定した。続く第12号議案「附帯決議」も鈴木常務が説明し可決した。

TPPなどで宣言採択  

 全議案の審議を終え、会場は「TPP交渉における国会決議の実現」と「農業・地域・JAの持続的発展」に関する宣言採択に移った。栗山議長は、宣言文の趣意を説明。天田聡志常務が宣言文(右記)を読み上げ満場一致で採択した。
 この後、柏木総代から、役員席を見下ろす形の総代会場の設営に関して工夫を促す提案が出され、本田勉組合長が検討を約束した。
 栗山議長は他に意見が無いことを確かめ、楠本議長と共に議場の総代に一礼し議長団は解任となった。

「地方発展に尽力」と組合長  

 閉会あいさつで本田組合長は、全議案の可決決定にお礼を述べるとともに、日本創成会議が2010年の国勢調査をもとに推計したという2040年の人口動態予測について紹介し、「2040年までに20、30代の女性が半減する自治体は和歌山県では77%に上り、人口も田辺市では7万9千人から5万2千人に減少すると試算されている。このまま放置すると地方と都市の格差はますます広がるばかりだ」と地域の先行きを憂慮。
 そのうえで地域に根ざすJAとして、現状のTPP問題や規制改革会議の答申は地方の不安に追い打ちをかけるものだと訴え、「特に規制改革会議の提言は協同組合の理念そのものを否定した内容で、容認する訳にはいかず、皆の声を集めて中央政府に届けたい。JAは行政、地域と一緒になって地方の発展に尽力する」と約束。この日決定した第3次中期経営計画についても「決して楽観できるものではないが、元気な農業・地域・JAという『3づくり運動』を基本に、成果が挙がるよう全力を傾注する」と述べ、組合員の結集と指導、支援を求めた。
 第11回通常総代会は午後4時に閉会した。

「TPP交渉における国会決議の実現」と
「農業・地域・JAの持続的発展」に関する宣言採択  

 5月にシンガポールで開催されたTPP閣僚会合では、大筋合意にはいたらなかったものの、7月の首席交渉官会合やその後に予定されている閣僚会合に向けて、TPP交渉が大きな山場を迎えている。 
 TPPは、わが国の「食と暮らし・いのち」に大きな影響を及ぼす問題であり、「農林水産物の重要品目を除外又は再協議の対象とすること」や、「国民への十分な情報提供を行うこと」などを定めた平成25年4月の衆参農林水産委員会の決議(国会決議)が必ず実現されなければならない。
 また政府は、TPP交渉の進展と併せ、6月末の「規制改革実施計画」等のとりまとめに向けて、農業改革に関する議論を進めているが、6月13日には規制改革会議から「農協改革」、「農業委員会改革」、「農業生産法人要件の見直し」を柱とする答申がなされた。
 このうち農協改革については、各JAの判断により信用事業の農林中金への移管(代理店化)を選択できることや、全農・経済連の株式会社への転換を可能とすること、准組合員の事業利用について一定のルールを検討すること、中央会は新たな制度に移行することなどの考え方を示し、この考え方に即して、今後5年間を農協改革集中推進期間として自己改革を実行するよう求めている。
 今後、政府において農協改革に向けた法整備が進められるが、組織や事業の変更は、組合員の意思決定に基づく自己改革が基本であり、事業の移管・代理店化や株式会社化など組織や事業の変更が強制されることなく、組合員の意思に基づく改革が法的にも担保される必要がある。
 我々JAは、「食と農を基軸に地域に根ざした協同組合」として、地域農業の振興や安全・安心な農産物の安定供給に取り組む一方、准組合員の事業利用を含め地域社会・生活の維持・発展に向けた取り組みを進めてきた。
 農業構造や流通構造などの変化に即応した不断の改革は必要であり、地域農業の振興や農家所得の向上等をはかるため、組合員の意思に基づく組織・事業・経営の改革に取り組むとともに、地域社会・生活を支えるため、今後も地域に根ざした協同組合としての使命・役割を果たすことが必要である。
 以上のことを踏まえ、農業・地域・JAの持続的発展をはかるため、下記の事項について、全力で取り組む。

1.TPP交渉に関する国会決議の実現に向けて、組織の総力  を挙げて徹底した運動を展開していく。
2.JAへの結集のもと、組織・事業・経営の改革に取り組む  とともに、「食と農を基軸に地域に根ざした協同組合」と  しての使命・役割発揮により、農業・地域・JAの持続的  発展を着実に進める。

 以上、宣言する。
   平成26年6月21日 紀南農業協同組合 第11回通常総代会

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