JA紀南広報誌

2014年8月号p05-02

2014年8月号もくじ

きずな 常務(生活本部長)小幡 博巳  

規制改革会議の答申  

 安倍政権の発足後、アベノミクス成長戦略(三本の矢)が平成25年6月に閣議決定されました。第一・第二の矢は、金融・財政政策の需要面の戦略、第三の矢は「民間投資を喚起する成長戦略」と位置づけされた供給面の戦略です。
 第三の矢は、日本の経済成長を実現するための政策として、女性の活躍、インフラ輸出の強化、農家の所得倍増、民間活力の爆発などを軸としており、10年後に一人当たりの国民総所得を150万円以上に増やすことを目標に掲げています。
 このうち農業面は、農家所得の倍増、農地の集約化、農産物・食品の輸出額を現在の4500億円の倍増となる1兆円を目標に掲げた政策などです。これを受け、政府の規制改革会議は今年5月14日に農業改革案を公表しました。改革案では、農業ワーキング・グループが「農業改革に関する意見」と題し、農協・農業生産法人・農業委員会の3テーマについて35項目に及ぶ提言を列挙しています。
 その中の農業協同組合改革では、「中央会制度の廃止」が取り上げられました。全国の各JAが独自性を発揮し、自主的に地域農業の発展に取り組めるよう、「系統」を再構築し、農協法に基づく中央会制度の廃止を提言しています。
 また「全農の株式会社化」についても提言がなされています。全農組織のガバナンス(統治力)を高めグローバル市場での競争に参加するため全農を株式会社に転換すべきというものです。
 提言は「組合員の在り方」にも及び、JAの准組合員数が正組合員数を上回った中、准組合員の利用制限を新設し、事業利用が正組合員の2分の1を超えないよう制限すべきというものです。
 さらには「単協の専門化・健全化の推進」の項目もあります。各JAの経済事業の機能強化と役割・責任の最適化を図るという観点から、不要なリスクや事務負担を軽減するため、信用事業については農林中央金庫へ移管(業務中止、代理行への移行のいずれかを選択)、共済事業は全国共済連に移管し各JAは代理窓口業務を行うとしたもので、総合事業の分離、廃止までもが提言されています。
 ただ、これらの提言は、最初に結論ありきの極端な内容で、JAを利用する組合員や地域住民にとっては大変迷惑なことであります。
 このワーキング・グループの意見を踏まえ、規制改革会議は6月13日に「規制改革に関する第2次答申」をまとめました。そこでも農業協同組合については「抜本的に見直す」と明記され、焦点だった中央会制度をはじめ、多くの項目で具体的な結論は今後の議論に委ねられているところです。

農業協同組合の定義  

 協同組合とは、人々が自主的に結びつき自律した団体です。人々が共同で所有し、民主的に管理する事業体を通じ、経済的、社会的、文化的に共通して必要とするものや強い願いを充たすことを目的としています。
 協同組合は、自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯という価値に基づいています。組合員は、創始者達の伝統を受け継いで、正直、公開、社会的責任、他者への配慮という倫理的な価値を信条としています。
 組合は、共通の経済的、社会的、文化的なニーズと願いを満たすために自発的に手を結んだ自治的な組織です。
 地域は、生産者や消費者が結びつき長年にわたって地域社会と人々の暮らしや環境、文化を守っています。政府の言う改革も、地域のための改革であってほしいと願います。

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