JA紀南広報誌

2014年3月号p03-01

2014年3月号もくじ

農を耕し、地域を起こす農人【No.9】  

 JA紀南にはストックやカスミソウ、トルコギキョウやガーベラなど、さまざまな花きが栽培されているが、近年では面積が減少傾向にある。そんな中、花き栽培面積の拡大を視野に入れている新部会長に話を聞いた。

厳しさを乗り越え、先を見据え
花き部会長として勉強の日々  

田辺市芳養町(芳養支所管内)
森本 浩司 さん(40)
JA紀南花き部会長

 森本さんが就農したのは16年ほど前。当時から現在まで花き類のスターチス栽培を続けている。就農時はスターチスのほか、梅とミカンも栽培していたが、花き栽培を広げていくうちに、梅とミカンの園地は近隣の農家に貸し、スターチス栽培一本になった。
 スターチスの栽培は農業用ハウスで行う。森本さんは二十棟以上のハウスで、妻と両親の4人で作業を行っている。市場のどのような注文にも応えられるようにと、花の色の種類も10色以上は作っている。
 収穫は10月上旬から6月中旬まで。梅などを作らず、スターチス栽培に絞っているため、価格が上がってくる初夏まで収穫することができる。「収穫の終盤は暖かいので生長が早く、作業が追いつかずにやむなく放っておくハウスもある」と話す。
 収穫が終わった夏場には土壌消毒を行い、苗の植え付けは8月下旬から9月上旬に終える。
 栽培面で苦労しているのは台風の襲来だ。特に苗の定植が終わった9月頃に接近する台風には注意を払う。台風が近づくと、苗やハウスが飛ばされないよう対策をしなければならないからだ。「それらの作業がとても大変だ。台風が接近しているときはめちゃくちゃ天気予報をみて、作業の決断をギリギリまで見極める」と話す。
 萎凋(いちょう)細菌や灰色かび病などの病気もスターチス栽培の大きな問題だと森本さんは言う。病気の発生を防ぐため、夏場の土壌消毒は欠かせない。
 「前年に被害が無かったので、薬の量を減らしたら、その年は被害が出た。あれは勉強になった」と、その失敗からは細心の注意を払って土壌消毒をしている。効果が薄まるのではと、同じ薬を2回続けて使わず、新薬が出たら必ず試している。
 東日本大震災の発生時、スターチスを中心とした花き類の価格は下落した。追い討ちをかけるように原油価格の高騰により、加温のための燃料やマルチやビニールなどの生産資材の価格が上昇し、生産者には厳しい状況が続いた。
 そんなときでも、「今は厳しいけど、これを乗り越えたらいいことがあるかもと思って、頑張る」と前向きに取り組んでおり、まだまだ面積の拡大も視野に入れている。
 森本さんは昨年9月からJA紀南の花き部会長を務めている。管内ではトルコギキョウ、ガーベラ、カスミソウなどの花き類が栽培されているが、森本さんはスターチス一筋なので他の花き類の知識はほとんどない。「勉強していかないと会議が進まないので、興味や関心を持つようにしている」と言う。だが「たとえどんなことがあろうとも、スターチス栽培は続けていく」と力強く話している。
 森本さんには子どもが2人いる。「スーパーに行くと下の子どもがスターチスを見て『お父さんの花やな』と言う。全部自分が作った花やと思い込んでいるわが子をみると、まだまだ頑張らなあかんと思う」と話す。この情熱で紀南地域のスターチスを一花咲かせたいと栽培に懸命に取り組んでいる。    (文・写真=栗栖昌央)

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