JA紀南広報誌

2014年11月号p03-01

2014年11月号もくじ

あぐりびと 【No.17】  

田辺市稲成町(中央支所稲成店管内 小谷 真一 さん

田辺市稲成町
(中央支所稲成店管内)

小谷 真一 さん

 今年も9月から紀南のミカン販売シーズンに入ったが、近年、味の良いミカンの引き合いはより強くなっている。漬け梅を拡大しつつも、ミカンへのこだわりを忘れず味を追求する小谷真一さんにその意気込みを伺った。

個性のある物が売れる時代
味追求のミカンこそ面白味  

 小谷真一さんは大学の農学部を出て就農し21年になる。亡き父・定一さんは「親に言われて農業をするのと、任されるのは違う。失敗して賢くなればいい」と、真一さんが28歳の時に経営を譲り“縁の下の力持ち”に徹した。
 就農当時の経営は、温州や中晩柑のかんきつ類、梅、スモモの3本柱だったが、時は梅ブームの最中。真一さんが望んだ漬け梅(一次加工)の園地拡大にともないスモモと中晩柑は転換を進めた。
 だが、もう一つの柱である温州ミカンは、就農時よりもやや増えた。現在は極早生の「日南一号」が60㌃、「日南の姫(ひなのひめ)」が10㌃、早生が90㌃ある。
 梅とミカンとの両立には効率性が求められ、年中忙しいが、「個性のある物が売れる時代だからこそ、作り手の個性が出せるミカンはおもしろい」と感じたのが温州ミカンを減らさなかった理由だ。
 「産地は良い物を作るのが仕事、市場は高く売るのが仕事…」とは、JAの販売会議などで市場関係者がよく使う言葉だ。小谷さんはこれを「ミカン栽培では努力点は価格に反映されず、結果はすべて味だ」と解釈しミカンに挑む。
 JAのミカンの“こだわりグループ”にも当初から加入し10年ほどになるが、これが味の良いミカン作りへの意欲をかき立てた。作る品種に向いた園地条件の判断に始まり、マルチ被覆、フィガロン乳剤の使用、リン酸系の葉面散布など、食味(糖度)や着色に至るまでの品質向上のための情報収集と栽培管理に余念が無い。
 さらに刺激を受けたのは、2年前にJAの“木熟201グループ”に加入したことだ。糖度14%以上をめざす生産者との交流が始まったのだが、「それまでの自分にとって木熟グループは雲の上の存在だった」と小谷さん。
 201グループの生産者は皆がミカン作りの達人だ。“木熟201”の作り方を会得するには「達人の技を盗み、努力して、自分の畑でものにするしかない」。ミカン栽培の新たな目標ができた。
 生産に関しては、個々の木の果実の糖度を測って収穫を判断し、出荷時にも果実をさらに選別して厳選する。木熟として栽培した園地のすべてが合格する訳ではないが、「良い物を作れば、これほど単価を取れるのか」とも知った。
 小谷さんは昨年9月、稲成みかん部会長となり本部のみかん部会長も兼務している。JA紀南が梅と共に、ミカン産地としてもこの先、継続するには、「JAが共選である以上、生産者みんなの品質のレベルアップが必要になるだろう」と語る。その牽引役になるのが“こだわり”や“木熟”、さらに“木熟201”だと、小谷さんは実践を通じて確信している。
 小谷さんは「地元の稲成でも最近ミカンに興味を持つ若者が増えてきた」と喜んでいる。「僕が就農した20年前は、梅の話で持ちきりだったが、今は若いもんらと一緒に酒を飲んでも、どうやったらミカンの糖度が上がるか、この先どんな品種がいいかといった話が出る」。味で勝負できるミカンに活路を見出したいとの思いは人一倍強い。(文・写真=山本和久)

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional