JA紀南広報誌

2014年1月号p03-01

2014年1月号もくじ

■ 新年ごあいさつ ■  

国民の食を担う農業に誇り
腕を取り合い新時代の波を  

代表理事 組合長 本田 勉

 新年あけましておめでとうございます。
 組合員の皆様には、お元気にて輝かしい新春をお迎えのこと、役職員一同心よりお慶び申し上げます。
 平成26年は午年です。ギリシャ神話のペガサスのように、天空高く飛翔の年でありますように…。
 「一年の計は元旦にあり」と申します。夢は大きく描き、計画は足下を見つめ堅実なものにしたいものです。
 さて、農産物は気象の影響を強く受けますが、今年はどのような展開が待っているのでしょうか? 特に最近は異常気象といわれるような天気が再々現れますが、私たちは、いかなることがあろうとも、日本の食を守る気概を持ち続けていきましょう。
 いずれにしても平穏無事な一年でありますように祈っています。
 小泉内閣の構造改革政策以来、新自由主義の嵐が吹き荒れています。この嵐は、大企業や大都市を中心に渦を巻き、中心は風も無く太陽さえ望めますが、周辺は大嵐となっています。
 私たちの住む地方や、そこを生活基盤とする第一次産業は荒海の中の小船のようにもてあそばれて進路さえ見失いがちです。
 こんなときこそ、協同組合の大切さを実感します。バラバラではなく、まとまってこの嵐と戦わなくてはなりません。沈められてしまっては何も残りません。皆で心を一つに取り組みましょう。
 しかし、取り組むといっても、何をすればいいのでしょうか? 答えは身近にあります。
 いま日置川地区では農家民泊の取り組みがみられ、修学旅行生に農業や漁業・林業などを体験してもらっています。JAグループが全国で進めている「みんなのよい食プロジェクト」は、食を通じて農業を考えてもらう取り組みです。
 そのほかJA紀南では、親子で農業体験をしてもらう「あぐり・すくーる」や、ふれあい農園などで農業に親しんでもらう取り組みも行っています。一昨年には「農業塾」を開講し、2年間での受講者は73人にのぼっています。
 また消費宣伝など、いろいろな機会をとらえ、農業や食について発信し続けることが重要です。こうした地道な取り組みを通じ、農業のファンを増やしていくことが将来につながると考えています。  
 変革は世の常です。時代は常に動いています。しかし、現代ほどそのスピードが速いと、うっかりすれば取り残され化石になってしまいます。
 「生き残るのは強いものではない。変化に適応したものである」というダーウィンの言葉が、非常に重く私たちを捉えます。JAも合併して図体が大きくなっただけでは、恐竜の二の舞です。
 25年4月に組合員の皆様のご理解を得て、稲成・秋津・万呂の各支所を統合して中央支所としました。これで当初の構想は完結した訳ですが、JAの改革は決して終わったわけではありません。
 合併以来、丸10年です。「十年ひと昔」とは、よく言われる言葉ですが、その間に世の中は猛スピードで変わっており、現在は「一年ひと昔」の感覚です。中央支所を立ち上げてホッと一息という訳にはまいりません。
 さらに改革を進めて磐石の経営を確立し、組合員の皆様に協同運動の果実をお取りいただけるよう取り組みます。
 さて、農業です。高齢化、後継者不足で耕作放棄地が増えています。国も自治体もJAも、これの解消に必死で取り組んでいます。
 この地に根付くいろんな作物は、一朝一夕にできた訳ではありません。先人の血と汗の結晶です。諸先輩の苦労により、個人の所得はもちろん、地域全体で大きな収入になっていることを考えると、耕作放棄地が増えることは地域にとって大きな損失です。
 そこで少し視点を変えて、個人単位ではなく集落単位で経営収支を考えてみるのはどうでしょう。いわゆる集落営農の考え方です。
 農業は経済至上主義の効率化だけでは割り切れません。皆で助け合って営農をし、得られる果実を皆で分け合うことが必要です。
 JAは、25年度から農業経営事業に取り組んでいます。この内容を参考に、地域営農組織の立ち上げに寄与できればと考えています  
 動物は自力で動けますので、災害から身を守ることができます。しかし植物は自分では動けません。そこで虫や動物の食害や病気から身を守るため、いろいろな物質を体内に生成するそうです。その一つがポリフェノールで、体内に侵入しようとする病菌を防ぐ役目をするそうです。
 JA紀南では田辺市と「紀州田辺うめ振興協議会」を立ち上げ、梅の生産振興や消費拡大に取り組んでいますが、その一環として梅の持つ機能性成分の研究を大学の先生に委託しています。
 和歌山県立医科大学の宇都宮洋才先生は骨粗鬆症の研究をされています。25年11月には、正確なデータを取るため、さらに500人の方に検診調査をお願いしたところです。
 信愛女子短期大学の小山一先生は、植物の持つポリフェノールに着目され研究を進められました。そして梅酢から抽出したポリフェノールが、ごく薄い濃度でもインフルエンザウイルス等の殺菌・増殖抑制効果があることを発見されました。
 昔から梅酢でうがいをすると風邪を引かないという言い伝えがありますが、医学的に証明されたわけで大変明るいニュースです。私たちはこの成果を産地振興につなげられるよう、商品化に向けて田辺市と協力して取り組んでまいります。
 また田辺市では、25年12月2日の市議会において、議員提案として上程された「田辺市紀州梅酒による乾杯および梅干の普及に関する条例(案)」が満場一致で可決され、同日、真砂市長により施行されました。
 「紀州田辺うめ振興協議会」は2000枚のポスターを作製し、さっそく関係各所に貼っています。乾杯条例を機に、さらに梅に関心を持っていただき、毎日少しでも梅酒や梅干し等を摂っていただくことが、皆様の健康増進は申すに及ばず、消費の底辺がぐんと広がり、ひいては産地振興に大きく貢献することにつながります。
 話は変わりますが、梅酢からポリフェノール単体を抽出する技術を確立された三谷隆彦先生が来田された折、「和歌山の大学に農学部が欲しいね」ということを話されていました。
 いまの少子化時代に大学の新設は無理でも、学部の新設はできるかもしれません。私たちは、農業の未来をかけて真剣に考え、運動を起こす必要があるのではないでしょうか。
 国の形が大きく変わろうとしており、農政も一大転換点を迎えようとしています。この変革のときこそ、私たちは国民の食を担っているという誇りを持ち、お互い腕を取り合って、新時代の波を乗り越えていきましょう。
 申すまでもなく、JAは組合員の皆様のものです。皆様には、本年もご指導・ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

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