JA紀南広報誌

2013年4月号p05-01

2013年4月号もくじ

きずな 代表理事 副組合長 本田 勉  

政治の役目  

 新自由主義社会。言葉の響きからは想像もできない弱肉強食の世界である。自然社会の弱肉強食は食物連鎖で循環するが、新自由主義は一方通行だ。強いものはますます強くなり富の偏在が起こる。それを税の形で循環させるのが、政治の力。
 私が20代の頃師事した政治家の大江敏一先生(現参議院議員・大江康弘先生の父)の言葉を思い出す。先生はあるとき「本田君、政治というのは光の当たらないところに光を当てるのが仕事なんだ」と私におっしゃった。
 その言葉は、私には大きな感動であった。他にどのような言葉を交わしたか余り記憶にないが、その一言は今も鮮明に脳裏に焼き付いている。
 日頃の先生の政治活動について、当時の私は余り存じあげなかったが、私のような20代前半の人生の雛に対しても、一人前の人間として対してくれる人柄は、その言葉と相まって今でも尊敬する政治家として心に刻まれている。
 先生は選挙のときだけペコペコし、選挙が終わればふんぞり返るような政治家ではなかった。そのため事務所にはいつも先生を慕う若者が大勢集まり、いろんな話をしていた。時には輪の中心でニコニコしながらみんなの話を聞いて、うなずいておられたのを思い出す。
 植物も育たないような光の当たらないところなんか必要無いといわんばかりの現在に、大江先生がご存命ならなんとおっしゃるであろう。もう一度先生の言葉を聞きたいものである。

TPPはどこへ?  

 いま日本中がTPPで揺れている。メディアの報道は、総じて参加歓迎のようである。得をする人、損をする人それぞれの立場で喧々諤々(けんけんがくがく)だ。
 自民党は先の衆議院総選挙で、6項目の公約をうたい大勝した。安倍首相は選挙結果と70%を超える支持率を背景に、TPP交渉参加を早々に決定したい様子。
 だがちょっと待って欲しい。政府は農地法の規制を外して企業の農業参入を認め、規模を拡大して競争力をつけるというが、そもそも急峻な農地も含み日本の農地面積は469万㌶しかない。農家1戸当たり1・8㌶の面積である。
 これに対しオーストラリアは4億5572万㌶あり、農家1戸当たりで3204・9㌶と、1戸当たりは日本の約1800倍である。極論すれば日本の総面積を約1450戸で経営して初めてオーストラリアと対等になるのだ。
 現在約260万戸ある日本の農家を1450戸まで減らせば、オーストラリアと農地の条件が違う日本は耕作放棄地が際限なく増えることだろう。結果的に同じ経営規模は実現不可能ということだ。
 戦後、日本の農業は、経済発展の陰で平野部の優良農地を企業に提供してきた。今また農業経営強化という美名のもとに、農地が侵食されようとしている。農業は効率化だけでは決して永続できないと思う。私たちは、共生の意味を深く考え、実践していくことが必要なのではないだろうか。

KIZUNA PART12
思いやり2  

 前回、私の当番の本欄で、思いやりについて考えてみた。想いが届いたか心許ない部分があるので、もう少しお付き合い願いたい。
 いま私の手元に先月の紀南誌3月号がある。その18ページに榎本義人君のコラム、「お客様の笑顔のため」が掲載されている。
 その内容は、もう一度お読みいただくとして、そこには私が前回お伝えしたかったことが、見事に描かれている。思いやりとは、思いつきの親切ではないのである。榎本君も気付いているように、相手の心の奥底に触れて初めて思いやりといえるのである。
 もう一つ、読売新聞のコラムに「思いやり」と題した一文があった。その内容は筆者が、アメリカの書籍会社に支払い方法を尋ねたとき、慣れない英語で電話をすると、日本の顧客センターを紹介してくれたという。そこに電話すると日本語で応対してくれ、10分ほどで疑問は全て解消できたそうである。
 そしてここからが、思いやりである。1分後アメリカからメールが届いた。「先ほどの問題は解決しましたでしょうか?」、「もしまだなら…」とさらに問い合わせ先が記述され、最後に次の一文があったそうである。
 「地球上で最も顧客第一の会社を目指します」
 如何でしょうか?
 爪の垢でも煎じて飲みたい心境です。

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