JA紀南広報誌

2013年12月号p03-01

2013年12月号もくじ

農を耕し、地域を起こす農人【No.7】  

田辺市下川上の園地でシキミとサカキを合わせて約1000本の管理を行っている清水武さん

 ビシャコ、サカキ、シキミと、花木類は正月や盆、彼岸などの紋日を中心にお供えに欠かせず、なかへちでも花木栽培は盛んだった。いま高齢化や耕作放棄の逆風の中、その火を絶やさないよう取り組む新部会長に展望を聞いた。

田辺市平瀬(鮎川支所管内)
清水 武 さん(68)
JA紀南花木部会長

高齢化でも高品質を目指す
シキミ栽培、維持への試み  

 清水武さんは、平成19年から富里地区の花木部会代表と、なかへち地区副部会長を務め、今年9月にはなかへちの部会長とJA紀南の花木部会長に就任した。その際、「あまり気負わず、何とか花木の現状を維持しないと」とだけ考え、さまざまな目標を掲げている。
 清水さんはシキミ作りを始めて17年になる。50歳を過ぎた頃に勤めを辞め、義父が残してくれたシキミ栽培を引き継いだ。それまで経験のなかった作業も「農家生まれなので何の抵抗もなく、苦労も感じなかった」と話す。
 「昔はシキミの販売で生活できたが、今では年金の補助的なものになった。主な管理も草刈りと防除ぐらいだし、野菜を作るよりも収入になると思っているのだが」とシキミの利点を感じている。
 栽培面では「不要な枝を切り落とすことで風通しが良くなり、病害虫が減少する」と考え、園地に行っては枝を切り落としている。
 JA栗栖川集出荷場へのシキミ出荷者は、平成13年度には224人あったのが、昨年度は98人にまで減少し、販売高も年々減少している。
 その大きな原因が生産者の高齢化だ。シキミの栽培管理は一人でできても、出荷は夫婦で作業を行う場合が多い。「男性が切って、それを女性がくくって出荷するのだが、現在は切り手が少なくなって放棄地になっているシキミ園も少なくない」と話す。
 なかへち地区のシキミは、栗栖川集出荷場から主に岡山方面に出荷している。出荷先では他産地のシキミも入荷しているが、なかへち地区のシキミに需要が集まるという。「なかへち産は葉が落ちないとの評判が高い。それは収穫から出荷までの水管理によるものだ」と品質には自信を持っている。
 しかし、市場の注文に応えていくのも現状ではやっと。少しでも出荷量を確保しようと、耕作放棄園を借り受け、集出荷場のJA職員が園地管理を行い、収穫をシルバー人材センターに依頼するという取り組みも行っている。
 「今後も市場の注文数を確保するためには背に腹を代えられない」と苦肉の策だが、「放棄地を貸してくれる方もいるので、定年帰農で花木を栽培したいという方はサポートしたい」とも話す。
 清水さんは部会長になった今期、産地維持のための講習会を積極的に開催したいと考えている。「新たに栽培を始めた人からそのような声があったからだ」と言う。
 出荷物の品質を維持するための目揃え会も毎年、盆、秋の彼岸と続くピーク前の7月に開いている。「水管理の徹底や、ボリューム感のあるくくり方などを確認しあうことが重要だ」と、産地一体となっての品質向上に余念がない。
 「一回、他産地を視察に行き、こちらとどれだけ違うのか見てみたい」と、今よりも効率的かつ高品質栽培の参考にしようと、しっかり前を向いている。
 年内は正月用シキミの出荷のため、12月上旬から本格的な作業に入る。大事なその時に高品質なシキミを出荷できるよう、ハサミを片手に、枝を落としている。(文・写真=編集部・栗栖昌央)

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