JA紀南広報誌

2013年11月号p03-01

2013年11月号もくじ

農を耕し、地域を起こす農人【No.6】  

田辺市上秋津(上秋津支所管内)
野村 勉 さん
JA紀南生販連協委員長

 親から受け継いだ農業を次世代に継承できるか、その鍵は農家の所得確保が握っている…。JA紀南は第一の柱に地域農業の振興を据えており、そこに生産者組織は欠かせない。9月に就任の生販連協の新委員長に話を聞いた。

「現場の声、組織に最大限」
委員長としての責任と自覚  

 野村勉さんは今年9月、JAの生産販売委員会連絡協議会の委員長に就任、農業振興の要の組織の舵取りを任された。「現場の声を最大限吸い上げて、組織活動に生かしたい」と気を引き締める。
 野村さんの生販・部会組織とのつながりは密接で長い。合併当初の地元上秋津のみかん部会長時には本部のみかん部会長も務めた。地元の生販委員長になった平成22年9月から3年間は、生販連協の副委員長も務め、今期、委員長の重責をバトンタッチされた。
 「就農は必然的で自覚はしていた」という。しばらく自動車教習所の技能指導員として働き、本格的に農業を始めて20年になる。家族は勉さん夫婦と母、2人の子どもの5人で、今が頑張りどころだ。
 上秋津は昔からかんきつ類の栽培が盛んだった。平成時代に入り紀南管内は梅の面積が一気に拡大した。しかし野村さんは、家内労働を基本とした農業を意識し、温州ミカン・晩柑・梅を全体の3分の1ずつという品目構成を当初から大きく変えてはこなかった。「百姓には百の仕事があり、それをこなす職業だ。だから経営の危険分散のため品目を一個に特化したらあかんと思ってきた」という。
 最近思うのが農業の所得水準のことだ。「私も大学の息子がいるが、それなら息子に農業は良いと胸を張って言えるだろうか」。地元の80代の高齢者が『跡取りはいるが、今の状況では農業をしてくれとはよう言わん』と言って畑でがんばっている姿を見るにつけ、逆に「紀南の農業は将来をあきらめてもいいのか。そうじゃない、何かできるはずだ」と語る。
 生販連協でもこの“所得向上”をテーマに取り上げ、その方策を皆で議論したいと考えている。「手塩にかけて作った農産物の販売がうまくいき、農家の所得が向上すれば、高齢化や耕作放棄地の拡大、担い手不足といった諸問題の解決の糸口を見つけることができ、子どもに農業を継承していけるのではないか。生販連協で何かの行動を起こしたい」と力説する。
 近年の農産物流通は、今までの根幹だった市場販売に加え、直販所、産直・ネット販売など多岐に渡ってきている。「売り方を従来と変えていかなければ」と、野村さんはJA紀南が今年4月に販売部に新設した「特販課」に期待を寄せ、その機能発揮を望む。
 また野村さんは「農家が選果場に出荷したらそこで終わりという意識を持っていないだろうか。消費者においしいと言ってもらう感覚を体感することが大切だ」と話す。農産物を購入してくれる消費者を常に意識し、消費者との距離感や意識の乖離を減らす取り組みが必要との考えを持っている。
 野村さん自身も、おいしいミカンを作り、梅の収量を安定化させ、農産物の売り上げを上げることを目標に実践を積んでいる。9月には温州ミカンの収穫シーズンに入り、「日南の姫」、「ゆら早生」、11月から早生の木熟みかん、その後も晩柑類の収穫が春まで続く。10月2日は「ゆら早生」の初収穫で、妻の文代さんと着色やサイズを確認しながらハサミを入れていた。 (文・写真=編集部・山本和久)

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