JA紀南広報誌

2011年6月号p10-01

ミカン  

 今年の温州ミカンは着果の多い表年であり、特に木熟ミカンでは来年の生産量確保が大きな課題である。隔年結果是正対策として、樹冠上部摘果や樹別・園別全摘果に取り組む重要な時期となる。この時期を逃すと隔年結果是正が難しくなるので、きっちり対策を行おう。また、6月は樹勢維持にも気を配り、果実肥大を促進しよう。

◆樹冠上部摘果

 隔年結果が激しく、着果過多で旧葉に対する新葉の割合が30%以下の着果過多樹では、樹冠上部の約40%(総着果量の50%)をできるだけ早く全摘果して、梅雨芽を7月10日ごろまでに発芽させる。
 摘果部位を30%に減らすと夏芽(母枝)の発生が不足し、さらに翌年の着花も不足する。逆に50%に増やすと着花過多となる。樹冠上部の40%程度で今年の中玉生産と翌年の着花が良好となる。

◆樹別・園別全摘果

 樹冠上部摘果以外に、樹別または園別に全摘果を行い、来年の結実を確保する方法もある。摘果作業が遅れがちになる場合や樹勢の弱い木は、樹別または園別全摘果の方が、効果が期待できるので取り組んでほしい。

◆不知火(デコポン)の粗摘果

 不知火は着果量が多いと樹勢が低下して小玉果が多くなり、隔年結果を引き起こす。6月下旬に強く粗摘果を行うことで、より大玉が揃い減酸にもつながる。また、翌年の着果確保、細根や夏枝発生促進にも効果がある。摘果の程度は、全摘果量の8割近くを目標に粗摘果し、最終着果数が1立方㍍当たり11個を目安とする。

◆温州ミカンへの薬剤摘果剤散布

 摘果作業の遅れる園は、薬剤摘果をうまく活用しよう。満開20~50日後(果実の大きさが20㍉程度の時期)にフィガロン乳剤1000~2000倍を散布すれば、間引き摘果の効果と着色・糖度等の品質向上剤としての効果が期待できる。
 また、満開20~40日後にターム水溶剤1000~1500倍も間引き摘果の効果がある。ターム水溶剤は品質向上の効果はないが、樹勢を弱らすことがないのが特徴である。また、両剤とも樹勢の弱い木、若木への使用は、落葉や効果不安定などの症状が出るので使用は控える。なお、散布後、高温状態が続くと過摘果になる恐れがあるので留意する。使用にあたって不明な点は営農指導員に相談する。

◆樹勢維持

 6月は、果実の細胞分裂期にあたり、樹勢を維持することと養分吸収を促進することが果実肥大のために重要となる。
 樹勢が弱い場合や、着果が多い場合は、窒素主体の千代田化成1000倍やネオプロテック1号の800倍等を防除時に混用して樹勢維持に努める。また、降雨が少ない場合は灌水も行う。6月下旬からは、7月にストレスをかけるためマルチ被覆等の準備を行う。

◆病害虫防除

○黒点病
 6月は梅収穫と重なり、降雨が多い時期になるので初期感染での発生が多い。枯れ枝が伝染源となるため枯れ枝の除去は必ず行う。防除は前回散布からの降水量が200㍉を目安に、ペンコゼブ水和剤(600倍・30日前まで・4回以内、中晩柑は90日前まで・4回以内)、またはエムダイファー水和剤(600倍・60日前まで・2回以内)を散布する。降水量が少ない場合でも20~30日間隔で散布する。

○チャノキイロアザミウマ
 チャノキイロアザミウマの果実への寄生は5月下旬から9月ごろまで続く。特にマキ、サンゴ樹の暴風垣を設けた園で被害が多くなるので9月ごろまで注意する。
 防除は発生が多い6月上旬にゴマダラカミキリとの同時防除でアクタラ顆粒水溶剤(2000倍・14日前まで・3回以内)、サビダニとの同時防除であればハチハチフロアブル(2000倍・前日まで・2回以内)も有効である。発生源となる防風樹への散布も忘れないようにする。

○ミカンハダニ
 発生を確認したら、早い目にアタックオイルの200倍で防除する。但し降雨直後の高温・強日射時の散布は避ける。また、ミクロデナポンやデランフロアブルを使用した園では、1カ月以上の散布間隔を開ける。

○カイガラムシ類(ヤノネカイガラムシ)
 6月上旬に、スタークル顆粒水溶剤2000倍(前日まで・3回以内、中晩柑は7日前まで・2回以内)で防除する。幼虫の歩行が止まり、ロウ物質を形成し始めると薬剤が効きにくくなるので、ふ化直後の若齢幼虫をねらって散布する。なお、カイガラムシの種類によって若齢幼虫の発生時期が若干異なるため注意する。

○ゴマダラカミキリ
 ゴマダラカミキリ(天牛)の成虫は6月中下旬に多発し、枝や幹に産卵する。早い地域では6月上旬から成虫の発生が見られている。チャノキイロアザミウマとの同時防除としてアクタラ顆粒水溶剤(2000倍・14日前まで・3回以内)を散布する。

○ミカンサビダニ
 サビダニは、当初は葉で増殖するが、6月下旬頃からは果実に歩行移動する。防除適期はこの果実に移動する前の6月中~下旬。ハチハチフロアブル(3000倍・前日まで・2回以内)を丁寧に散布する。

○その他の病害虫
 高接ぎ園や幼木、夏秋梢の出た園では、ミカンハモグリガ(エカキムシ)、アブラムシの防除を行う。同時防除を行う場合、モスピラン水溶剤(2000倍・14日前・3回以内)が有効である。

◆中晩柑類の夏肥

 中晩柑類の夏肥は、樹勢維持と果実肥大の促進のため6月上旬に施用する。10㌃当たりの施用量は、「清見」で紀南柑橘配合100㌔、ポンカンで紀南柑橘配合80㌔、ハッサク、甘夏は有機化成特A805を60㌔、不知火は完熟みかん配合を100㌔とする。
   (富田川営農室・中平剛史)

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