JA紀南広報誌

2011年12月号p24-02

知って納得!税金講座 第8回  

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一
農地の納税猶予と相続時精算課税  

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 農地を相続する場合、相続税の納税猶予の特例を受けることができます。相続税の納税猶予とは、相続人が農地等を相続または遺贈により取得して農業を営む場合、一定の要件の下に、農業投資価格に基づき計算した相続税を納税し、通常の評価額に基づき計算した相続税との差額は、一定の日まで猶予され、その相続人が亡くなった日や相続税の申告期限から20年経過した日等に、その猶予されていた相続税が免除されるというものです。農業投資価格は通常の評価に比べかなり低い金額となっていますので、結果として、その農地に係る相続税の大部分の納税が猶予されます。
 一方、相続時精算課税制度とは、65歳以上の親から、その相続人である20歳以上の子どもに財産を贈与した場合、贈与税の基礎控除110万円に代えて、一生涯について2500万円の非課税枠を設け、かつ、非課税枠を超えた部分には一律20%の税率で課税するというものです。この際、贈与された農地の贈与時点における評価額は、将来相続があった時に他の相続財産に加算され相続税の課税対象になります。
 ただし、この相続時精算課税制度を利用して贈与された農地については、実際に相続が発生した時に相続税の課税対象になりますが、相続または遺贈により取得したものと見なされないため、相続税の納税猶予の適用を受けることはできません。
 従って、生前に農地を贈与することで後継者に経営移譲を行い、かつ、相続発生時に相続税の納税猶予の適用を受けようとする場合には、農地の「全部」を贈与した上で贈与税の納税猶予を受け、相続発生時に贈与された農地について、あらためて相続税の納税猶予を受けるという選択肢しかありません。相続時精算課税制度などを利用して「一部」だけを先行して生前贈与をすることはできませんので注意してください。

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