JA紀南広報誌

2011年12月号p02-01

農をいきる 地力請負人  

田辺市上秋津
泉 雅晴さん(45)

 紀南農産物の柱の一つであるミカンだが、近年は梅への転換によって面積が減り、一流産地に遅れをとっている。しかし、「追いつけ追い越せ」とばかりに、品質にこだわる生産者の小グループも発足。目指すはミカン産地の地位向上だ。

〝味良し、見た目良し〟
ミカン産地の地位向上へ  

 紀南ミカンは、温暖な気候を生かした早出しの極早生や、糖度を十分乗せて出荷する木熟を代表に、近年では、こだわり「天」、高糖度「201」が産地のレベルを牽引している。地域的には、上富田のフードプラン、田辺・大坊の越冬木熟など個性化ミカンもある。
 そんなさまざまな品種や出荷形態がある中、泉雅晴さんはJA紀南のみかん部会長として、産地の舵取り役を任されている。
 目標は「味良し、見た目良しのミカン」。一般的な理想論のようだが、泉さんはこれを「自分が納得できるミカン」と位置づけ、品質向上への高い意識を持つ。
 22歳で就農し、早生ミカンを軸に経営を図ってきた。近年では老木を中心に極早生や中晩柑類などに改植し、経営内容は梅75㌃、ミカンの極早生30㌃、早生65㌃、中晩柑50㌃となっている。
 特に、味の良し悪しで価格差の出るミカン作りには努力を惜しまない。マルチによる着色と糖度の向上、液肥や魚粕などを入れ〝味の良いミカン〟を探求している。
 ただ、近年は台風や大雨、温暖化など異常気象がミカン作りの障壁となっている。特に今年は春先の強風で傷が多く、秋以降の高い気温や雨の影響で、外観、内容とも厳しい栽培環境となっており、泉さんも「これほどの悪条件は本当に久しぶり」と舌を巻く。
 一方で、JAの「紀菜柑」に出荷を始めたことを契機に、消費者の声が聞こえ意識が変わってきたという泉さん。「当たり前のことだが、最終的には食べる人のことを考えてミカンを作るという基本を思い起こさせてくれた」と話す。

 一時期、全国の生産量は100万㌧を越えていたが、ここ数年は割っており、昨年は70万㌧、表年の今年も90万㌧を割る見込み。市場関係によると、産地の高齢化が進み、この先も微減するのが当面の見方だ。
 しかし泉さんは、このことを決して楽観視できないと気を引き締める。「生産量が減れば単価が高くなるという単純なものではない。量がなければスーパーも扱う量が減り、ひいては消費の減少にもつながりかねない」と危惧している。
 すでにミカンの消費量は年々減少傾向にあるという。しかも不況が続く中では、ミカンは生活必需品ではなく嗜好品になるため、大きな消費の伸びは期待できない。
 その打開策は「量を落とさず維持し、味の良いものを作り続けるに限る」と泉さんはいう。極早生では「天」を目指すこだわりグループに参加し、早生では糖度15
%前後のミカンを出荷する「201グループ」の一員として、紀南ミカンの牽引に一役買っている。
 「レベルの高い産地は山ほどあるが、バイヤーに毎年選んでもらえる産地づくりを目指したい」。泉さんはバイヤーと産地のつながりを強固にする要因が、品質と信頼の向上であると確信する。
 〝味良し、見た目良し〟という理想に近づけることが、消費者満足につながり、産地としての地位が上がると考える泉さん。あえて自分が納得のできるボーダーラインを高く設定し、目標を達成する努力を日々重ねている。
(文・写真=編集部・竹内一寿)

紀南勝景 ~その32~  

内之浦干潟親水公園 田辺市新庄町

 干潟を取り巻く自然環境を将来に残そうと「水に親しみ、水に学ぶ公園」として設備された公園。園内のビオトープ池や観察地では干潟の生物が観察できる。安政南海地震津波、昭和南海地震の津波潮位が刻まれたモニュメントも設置されている。

 

おしえてみかっぴ その2  

質問
紀南のミカンの種類ってどれくらいあるの?
答えは誌面のどこかにあるよ!

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