JA紀南広報誌

2010年3月号p09-01

くらしとお金 その⑨  

 前回はパート収入が103万円を超えた場合の妻の所得税・住民税と夫の配偶者控除・配偶者特別控除を調べてみました。農業では、妻が青色申告の事業専従者で給与を一度でも受け取ったときや、白色申告の事業専従者である場合、申告者(夫)は配偶者控除・配偶者特別控除を受けられないので、パートに出ている場合と異なることに注意しましょう。

妻のパート収入と夫の給与にかかる税金の関係  

 妻のパート年収が103万円を超えると夫は配偶者控除を受けられなくなりますが、141万円未満で他の要件を満たせば配偶者特別控除が受けられます。控除額がパート収入の増加に従い段階的に少なくなりますから、夫の所得から控除できる金額が減り、夫の給与にかかる税金に影響します。その関係を便宜上次の設定で計算してみました。
<事例>
夫:給与収入500万円、配偶者控除および配偶者特別控除と基礎控除を除く所得控除の合計額を所得税・住民税とも一律100万円とし、調整控除には影響しない。その他の所得や税額控除などはない。
妻:パート従業員で他に所得がなく、社会保険料等の負担もない。所得控除は基礎控除のみ。
 下の図表のように、125万円までは、家計の手取収入は増えていきます。税金負担をどう考えるかということになりますが、少しの負担なら家計の手取額アップを優先する選択肢もありますね。

健康保険や公的年金との関係  

 税金の次に、健康保険や厚生年金など社会保険について考えてみます。
 妻に収入がまったくないときは、夫が加入している社会保険に「被扶養者」として入れてもらえます。保険料は被保険者である夫の給与収入額によって決まりますので、妻自身は保険料を負担しません。
 妻がパートに出ると、勤務先が健康保険・厚生年金の適用事業所のとき、「適用除外」でなければ、本人の意志や賃金の額などに関係なく、自動的に加入することになります。夫の被扶養者ではなく、妻自身が被保険者として夫と別に保険料を負担しなければなりません。適用除外となる場合は夫の社会保険の被扶養者になるか、入れてもらえなければ国民健康保険、国民年金(第1号被保険者)に加入することになります。適用除外については、パートタイマーやアルバイトという名称だけで被保険者から除外されるわけではありませんし、自分の都合で加入するかどうかを決めることもできません。あくまでも、勤務の実態を見て被保険者になるかどうかが判断されます。雇用契約書等によって定められた勤務時間・労働日数が、その勤務先の一般社員の勤務時間・労働日数のおおむね4分の3以上あれば被保険者になるという目安のようですが、正確なところは勤務先に確認しましょう。
◎健康保険の被扶養者
 夫が協会けんぽへ加入している場合、妻が被扶養者に認定されるための条件は、主として被保険者である夫に生計を維持されていることと、妻の年収が130万円未満(60歳以上または障害者は年収180万円未満)で、かつ同居の場合は被保険者である夫の年収の2分の1未満、別居の場合は被保険者からの援助額より少ない場合となります。健康保険組合等では認定される条件が異なる場合もありますので注意してください。
◎国民年金の第3号被保険者
 夫が厚生年金に加入していれば、扶養されている20歳以上60歳未満の妻は国民年金の第3号被保険者となり、自身で保険料を負担しません。認定要件は協会けんぽの被扶養者認定の「年収が130万円未満(60歳以上または障害者は年収180万円未満)で、かつ被保険者の年収の2分の1未満」という規定が用いられます。

 以上のことから、妻が勤務先の健康保険・厚生年金に加入している場合は別として、妻の年収が130万円以上になると新たに国民健康保険と国民年金の保険料負担が生じ、家計の手取り収入が大きく下がることになります。            ~次号へ続く~
共済部 共済課 畑谷健次(CFP 認定者)
(注)所得税については平成21年4月1日現在の法令等、住民税は平成21年度分の内容を参考に記載しています。個別具体的なご相談は、所得税は税理士か税務署、住民税は市町等にお問い合わせください。また、健康保険や公的年金についての詳細は、ご加入の社会保険制度にご確認ください。

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