JA紀南広報誌

2010年3月号p02-01

農をいきる 地力請負人  

画像の説明

ポンカンや不知火(デコポン)、三宝柑、ハッサクなどJA紀南には温州ミカン以外にも多くのかんきつ類が栽培されている。新品種も次々と登場する中、風土に合った品種の見極めと、品質にこだわった栽培が産地の地位向上には不可欠だ。

田辺市上秋津
山本 智也さん (晩柑分科会 会長)

かんきつ栽培は〝味で勝負〟
品質にこだわり高単価目指す  

 紀南きってのかんきつどころである田辺市上秋津は、〝梅バブル〟が続いた時期でも、ミカン作りにこだわる農家が多かった。地域内で栽培されているかんきつ類は、出荷しないものまで含めると、ざっと70種類以上になるという。
 「土地が栽培に適しているという点と、味で勝負できる面白さがあるから」と山本智也さんはかんきつ栽培の醍醐味を強調する。JA紀南晩柑分科会長を務め、面積は少ないながらも幅広い品種を手がけている。
 紀南の晩柑類は、他産地との差別化を図るため、樹上で十分味をのせて食べごろを迎えてから出荷する〝木熟シリーズ〟が特長だ。中でもポンカン、ネーブル、ハッサクなどは他産地に比べて市場評価が高いという。
 新品種が次々と出てくる中、分科会として推奨する品種を限定するのは難しいが、有望種が登場するたびに、生産者に紹介する。「どんなものがヒット商材になるか分からないので、いろんな品種に挑戦することは大事だと思う」と山本さんは言う。

 新品種の導入と見極めは重要だが、「昔からあるハッサクや三宝柑などの品種も大切にしたい」と考える山本さん。例えば三宝柑については、JA出荷の約7割にあたる数量を、長野県の株式会社飯島商店という果物を使ったお菓子専門店へ出荷している。
 飯島商店では、三宝柑の果実がくり抜かれ、中にゼリーが詰まった商品となる。そのため内容だけでなく、大きさの均一化、見た目の美しさも重要なポイントとなる。
 山本さんは「飯島商店はこだわりのお菓子の原料として、紀南の三宝柑を取り扱ってくれている。お客さんもついているし、その期待に応えられる品質のものを届けなければならないとつくづく思う」と気を引き締める。
 もちろん、三宝柑だけではなく、ほかの品種についても高品質栽培は不可欠だ。手をかければそれだけ品質を高められるのが、かんきつ栽培のやりがいであり、同時に難しいところだという。
 不況の影響で梅やミカンが苦戦しており、品目を一本化せずにリスクを分散する経営が見直されている今日、晩柑類の導入は一つの有効な手段といえる。しかし、もう少し値段が上がってくれたら…というのが生産者の本音だ。
 価格浮上のためには販売方法や景気の動向もあるが、「まずは品質を高めることが農家の役目であり責任だと思う」と山本さん。そこには〝味で勝負〟という、かんきつどころで育ったプライドが見え隠れする。(編集部・竹内一寿)

紀南勝景 ~その11~  

紀州石神田辺梅林(きしゅういしがみたなべばいりん)
田辺市上芳養

 「一目30万本」で知られる紀州石神田辺梅林は、標高が高い山地にあるため眺めが良く、特に標高400㍍の「大蛇峰展望台」からは、海とすり鉢状に広がる梅畑を眺めることができる。観梅シーズンには山も峠も梅の花で真っ白になり、花の香りが辺りに漂う。

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional