JA紀南広報誌

2010年12月号p24-01

健康百科 第56回  

胃の病気とピロリ菌  

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 ピロリ菌は、胃の中にすみ着く菌で、日本人ではおよそ半数の人が感染しているといわれます。胃・十二指腸潰瘍は、治っても再発しやすい病気として知られていますが、その背景には、ピロリ菌の感染が大きくかかわっていることが分かってきました。そこで現在では、ピロリ菌を排除する「除菌治療」が、胃・十二指腸潰瘍の基本的な治療になってきています。
 ピロリ菌は口から感染しますが、成人後に感染することはほとんどありません。実際の感染は免疫力の低い5歳以下の子どもに限られます。特に母親から子どもへの感染が多いといわれています。
 ピロリ菌が長く胃にすみ続けるとピロリ菌が作るアンモニアや毒素によって、胃の粘膜が障害されるようになり「慢性胃炎」が起こります。このような粘膜の慢性的な炎症は、粘膜の修復力を弱めてしまい、「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」を起こしやすくします。慢性胃炎が続くと、胃の粘膜が薄くなり「萎縮性胃炎」につながります。こうなると「胃がん」の発生頻度も高くなります。
 ピロリ菌に感染しているかどうかを調べるには検査が必要です。これには胃内視鏡検査で胃の粘膜の一部を取って調べるやり方と、それを用いず、呼気や血液などから調べる方法があります。
 ピロリ菌の感染が確認されたら「除菌療法」を行います。細菌を排除するためには抗菌薬が使われます。これには、使う薬や使い方が決められていますので、医師の指示に従ってください。最近の研究では、ピロリ菌陽性で除菌を行った群では、行わなかった群に比べて、3年間の胃がんの発生率が3分の1に減ったという報告があります。

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