JA紀南広報誌

2010年12月号p07-02

テイクオフ  

常務(企画管理本部長) 山本 治夫
変化に反応して  

 「生き残るものは最強の種ではない。最も高い知能を有している種でもない。最も敏感に変化に反応する種である」
 よく、引き合いに出される、かの有名な進化論者であるダーウィンの言葉といわれる。
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 人は無意識のうちに現状を守ろうとする。前例を前年を踏襲する。それが楽だから。
 そういう私も仕事柄、「今、JAにとって、農業にとって何をしなければならないか」と考えるとき、昨年、一昨年の手帳を引っ張り出し確認する。そしてそれをそのまま今年に当てはめようとする。
 定型事務作業は別として、前例、前年踏襲をしている限りにおいて、自分の頭で考えることがなく、楽であることから変化に対応できるはずもなく、ダーウィンの言葉からすると、生き残ることのできない見本かもしれない。本来なすべき仕事ができているかと自省しきりである。
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 良きにつけ悪しきにつけ、我々を取り巻く環境の変化は激しい。グローバル化の中、全ての人類、全ての産業は世界につながっている。「私は、世界と隔絶した中で生きている」と考える人はよもやいないだろう。
 しかし、そのつながり方において、経済界からすれば、農業の保護が他産業の足かせとなって競争力が削がれ、今の景気の足踏み?が生じていると言わんばかりである。
 国は日本経済の中で農業をどのように位置づけるのか、国民に説明をしないままTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関連して最近、某政治家が「GDPに占める農業の割合が1・5%、他の98・5%を犠牲にして良いのか」とまで発言している。
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 そのような混沌とした情勢の中、農業はどんな作り物でも、百年一日のごとく、毎年同じ時期に同じ作業をして同じ時期に収穫をする。
 しかし、農業者自身は知ってのことであるが、作り物は同じであっても、自然相手の農業で、一度として同じ栽培、販売条件はない。
 そんな中で、取り巻く環境の変化に反応して前年より上質の品物を作り、販売する能力を持ち合わせた農業者、JAだけが生き残るであろうことを自覚すべきである。
 農協運動もそうである。運動理念を取り巻く環境は日ごと変化している。理念は変わらずとも運動方策は変化に反応し、対応しなければならない。それが時として組合員、地域の方に受け入れられ難い場合があるにしても。
 農業、JAは生き残らねばならないから。

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