JA紀南広報誌

2010年12月号p02-01

農をいきる 地力請負人  

串本町串本
稲垣 晴二さん(串本さつまいも会 会長)

 本州最南端の串本町で古くから栽培されてきたサツマイモを復興させようと、地元の生産者らが立ち上がった。組織名は「串本さつまいも会」。生産から加工、販売と地元中心だが〝6次産業〟を実践する会の会長に話を聞いた。

〝地元特有のサツマイモ〟再興へ
1年半で加工や消費者交流を実現  

とびきり甘くておいしい串本生まれのサツマイモ――。昨年5月、栽培拡大を図ろうと生産者28人が「串本さつまいも会」を発足させた。メンバーの多くは70歳前後だが、生産だけでなく、加工や料理開発、消費者交流など精力的に活動している。
 「味の良さは、どのサツマイモにも負けないと思う」と胸を張るのは会長の稲垣晴二さん。皮が薄ピンク色で中身はオレンジ色、焼き芋にすると蜜があふれ出るほどの甘さが特長で、糖度は20%近くまで上がるという。
 このサツマイモは地元で「サイパン」と呼ばれていたが、地域性を前面に出したいという会員の願いから、今年から「なんたん蜜姫」と改名することになった。
 栽培面では通常のものよりも肥大しにくいという特性があり、収量は思うほど上がらない。しかもイノシシやサルなどの獣害が深刻で、昨年は全滅した園地も数カ所あったという。
 それでも生産者らはこのサツマイモに愛着を持って栽培拡大を図っており、今年は昨年より500㌔多い3㌧を見込む。
 「市場出荷するほどの量はないが、地元のスーパーや直売所を中心に〝地域のブランド化〟を目指したい」と稲垣さん。収穫は11月いっぱいまで続く。
 なんたん蜜姫の特性を最大限に生かそうと、同会は手始めに加工品として「焼き芋アイス」を考案し、この夏「紀菜柑」や地元の土産物店で試験販売した。これとは別に、紫イモを使ったアイスも開発し、11月中旬からデビューを果たす。
 稲垣さんは「焼き芋としても十分おいしいが、より多くの人に食べてもらうためには手軽にできる料理を提案しなければ」と料理開発の必要性も説く。甘味のあるコロッケやサラダ、サツマイモご飯など、すでにいくつか試作品の案も出ているという。
 地域にサツマイモのイメージを浸透させるべく、消費者とのふれあいも重要視している。地域住民に苗植えから収穫、料理などの加工まで一連の作業を体験してもらおうと「いもっこ倶楽部」を設立。一般募集したところ、すぐに定員の20人が集まり好評を得ている。
 今後、さらに生産量を増やしたい同会では、栽培条件に合った農地の確保のため、遊休農地や耕作放棄地を借りて運営する計画もあるという。
 発足1年半で生産拡大だけでなく、加工商品や料理の開発、消費者交流をも実現した串本さつまいも会。メンバーは高齢者が多いが、「消えかけた地元特有の産物を何としても復活させたい」との強い想いが活力の源となり、この先も〝串本のブランド〟を育てていくことだろう。
(文・写真=編集部・竹内一寿)

紀南勝景 ~その20~  

沖の黒島 陸の黒島 すさみ町見老津
 すさみ町見老津の国道42号沿いに、「沖の黒島、陸の黒島」の壮大な景観が広がる。満ち潮の時には、激しい海流が陸の黒島に当たり、真っ二つに裂けた波が再びぶつかり合うという珍しい現象が見られ、「合掌波」や「婦夫波」と呼ばれている。

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