JA紀南広報誌

2010年10月号p08-02

今注目、日の丸弁当  

(社)日本栄養士会 元会長
野々村瑞穂さんが進言  

梅干しを食べようプロジェクトの結果発表会で講演する野々村さん(8月23日、JAふれあいセンターで)

 日本は、何を食べて世界一の長寿国となっているかご存じでしょうか。昔は米、野菜、魚が中心で、戦後、少しのお肉と卵を足したことによって世界で一番長生きする国になりました。
 体は食べた物の栄養だけでまかなわれ、つくられるのです。過去から積み重ねてきた栄養のおかげで今の体があります。「どこかが悪い」というのは、毎日食べる栄養バランスの過不足が原因で、これが俗にいわれる生活習慣病です。
 いろんな食べ物があふれている中、「食べる」という基本的なことを真剣に考えなければならない時代になってきています。
 現代では、100歳を過ぎても元気な人が増えていて、いろんな趣味を持つ人、私よりも元気な人もいますね。その人たちの食べる様子を見ると、好き嫌いがないのが特徴です。
 高齢化が進むにつれ、厚生労働省は長寿だけでなく「健康な寿命」を延ばすことを提唱しています。やはりそのためには、栄養バランスの良い食事を続けることが大切でしょう。
 最近では、糖尿病患者がアジアに集中しています。昔、アジアの国々は貧しく太った人が少なかったのですが、最近の経済発展と食の多様化に伴い、丸々と太った人が急増しています。
 特に肥満人口が多いのはインド。世界中がインドをターゲットとした事業展開をした結果、国が豊かになり、太った人が増え、それが金持ちの象徴となっています。
 アメリカは太った人が多いイメージがありますが、意外にもハワイが心筋梗塞の発症率が高い地域です。これを受け、ハワイ大学の学生食堂では、徐々に野菜を食べようという風潮になってきましたが、やはりまだ肉食が中心です。
 肥満は血管障害など多くのリスクを伴います。肉の摂取は少しでいいのです。筑前煮や肉じゃがに入っているくらいの量が一番ちょうどいいんです。

栄養バランスを考えた食事  

 厚労省と文部科学省がつくった「食事バランスガイド」をご存じですか。それぞれ一日に必要な食べ物摂取の指標です。
 これを元に私が1食の弁当を作ってみました。ご飯280㌘、肉、魚40㌘、野菜192㌘。合わせて690㌔カロリーで、これに梅干しを入れると「日の丸弁当」となり、理想的な弁当だといえます。
 厚労省はまた「野菜を1日350㌘食べよう」と促しています。野菜にはガン予防の効果があり、色の濃いものほど栄養価が高く、食卓がカラフルになるほどいい。さらに梅干しと野菜の組み合わせも体にいいのです。
 梅干しを食べると、「塩分を摂りすぎて血圧が高くなるのでは」という声を聞きますが、野菜と一緒に食べることでその心配は解消できるでしょう。野菜に含まれるカリウムが塩分を中和してくれるからです。
 私が先日食べた塩さば弁当は、1018㌔カロリーでした。ボリュームはありましたが、野菜といえばダイコンおろし5㌘と少しのニンジン、全部で20㌘だけでした。これではバランスがいいとはいえませんね。
 ダイエットという観点からみると、野菜は低カロリーで、350㌘食べても100㌔カロリーほどしかありません。最高のダイエット食といえます。
 一時期バナナダイエットというのが流行りましたが、バナナだけでは当然栄養をまかなうことはできません。1食だけ食べて大丈夫という食品はないのです。
 今回、梅干しのプロジェクトで体重や体脂肪が減ったというデータが得られたそうですが、〝ご飯に梅干し〟だけではやはり栄養不足なのです。野菜、魚、肉とともにバランスの良い食事が大事で、その量を調整することでダイエットにもつながるのだと思います。
 髪の毛や爪は毎日伸びますが、それを補っているのは食べ物しかありません。ダイエットをするにしても最低限度、体内で過不足がないよう食べることは大事なのです。
 間違ったダイエットは後々健康に必ず体に支障を来します。やせるための栄養の偏りはダメ。ぜひバランスのとれた日の丸弁当を提案してもらいたいです。

紀南地方は食材が豊か  

 「梅は三毒(水の毒、血液の毒、食べ物の毒)を絶つ」といわれるように、江戸時代から家庭の治療薬として食べられていました。さらに、血液浄化、活力増進、殺菌効果、老化防止、疲労回復が期待できる。梅干しを食べるときに出る唾液も体にいいのです。
 熱中症対策として私がオススメするのは、麦茶に梅干しを入れて飲む方法です。麦茶に塩を入れる人がいますが、梅干しを入れることで、ミネラルやクエン酸も得られます。
 紀南地方は梅干しの大産地ですが、果物や野菜、海産物など食材が豊かな地域だと思います。地産地消が流行っているように、生まれた土地のものを食べるというのは体にいいといわれています。
 直売所が身近にあるようですから、もっともっと地のものを食べてほしいと思います。四季の恵み、旬のものほど栄養価の高いものはありませんから。
 そしてやはり梅干しは食生活に欠かせないものとして呼びかけていくことも大切です。日の丸弁当の市民コンクールを開いても面白いでしょう。
 最近は台所に立つのが嫌だという女性が増えています。そういうことも加味して、手間隙かけないでもつくれる弁当を考案し、PRしていくことも必要です。
 梅干しを中心としてバランスの取れた食生活を継続すれば、紀南が日本一の長寿地域になるかもしれませんね。日の丸弁当がその一翼を担ってくれることを期待します。(文責は編集部)

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional