JA紀南広報誌

2010年10月号p07-01

テイクオフ  

常務(金融共済本部長) 小川 敦生
猛暑と日本経済について  

 暑い、暑い。この夏、日本各地の猛暑は異常です。熱中症で亡くなる人も大変多くなっており、異常気象が世界中で相次いでいます。
 ロシアでは、記録的な猛暑が続き、中国、パキスタンでは豪雨が発生、南米は厳しい寒波に見舞われました。農作物が打撃を受け、洪水・土石流が起こり、多数の住民が犠牲になりました。
 おおもとの原因ははっきりしませんが、専門家の間では、北半球の上空を流れる気流や熱帯海域の海面水温の異変が引き金になっているとの見方が多いそうです。偏西風が蛇行すると、流れが北極側に向かう部分の南側で、大気下層から上層にまで達する「背の高い高気圧」が発達し、猛暑になりやすいらしいのです。
 日本や欧州東部からロシア西部にかけての地域が猛暑に見舞われたのは、主としてこのためで、さらに、南米ペルー・エクアドル沖の海面水温が平年より上がる「エルニーニョ現象」も、今回の猛暑の原因とのことです。
 9月以降も残暑が厳しくなる見通しでもあり、農家の皆さまにつきましては、農作業等外での仕事に十分注意し、健康管理にご配慮ください。
 さて、梅干し価格が今年も大変厳しい状況です。改めて深刻なデフレ状況を身に染みて感じています。
 そんなデフレに苦しんでいる中で、円高と株安そして長期金利の低下。円は、一時1ドル=83円台まで上昇。株価は、日経平均年初来安値の9000円割れ、長期金利一時0・90%まで下げました。
 原因としては、第一は7月下旬から8月上旬にかけて相次いだ企業の4~6月期決算発表で、企業経営者の先行き慎重姿勢が浮き彫りになったこと。第二は米国や欧州で景気減速懸念が強まってきたのが底流にあります。
 円高は、農業にも悪影響を及ぼします。石油など輸入に依存する産品が円高により安く輸入できるのは良い効果ですが、輸入品の価格下落は農産物を含め国内生産品との競合を強め、価格押し下げ圧力をもたらします。
 例えば中国などの汚染食品問題から減少していた野菜のほか、バラなど花きの輸入数量が、輸入価格の下落も追い風となり、1年前ほどから増加傾向が続いており、競合は激化。梅干しも例外ではありません。
 2010年4~6月期の国民総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前年対0・1%増、年率換算で0・4%となりました。年率換算の実質成長率は3四半期連続のプラスを維持したものの、1~3月期の4・4%より大幅に鈍化しました。
 この結果、日本の名目GDPはドル換算で中国を下回りました。個人消費は0・03%増。GDPに占める輸出比率は韓国が50%、ドイツで40%、日本はわずか14・7%なので、個人消費の影響が大きいことが伺えます。
 総務省はこのほど、4~6月期の労働力調査を発表しました。完全失業者349万人(月平均)のうち、失業期間が「1年以上」の失業者は118万人となり、前年同期に比べ21万人増えました。増加は7四半期連続となり、完全失業率は5・3%と深刻です。
 日本経済が抱える最大の問題は需要不足。政府・日銀の成長戦略、金融・経済対策の早急な対応を願っています。

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional