JA紀南広報誌

2008年6月号p03-01

2008年6月号もくじ

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日置川地域では、〝紀州うすい〟として名高いウスイエンドウの栽培が古くから盛んだ。温暖な気候を生かした早期出荷が特長で、露地ものは例年3月から収穫がスタートする。このシーズンを待ちわび、旬を迎えたウスイの出荷作業を二人三脚で行う夫婦に出会った。
白浜町塩野 榎本 勝介さん 雅代さん

温暖な気候生かした早期出荷が特長
適地適作、日置川の〝紀州うすい〟  

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 ウスイの栽培方法は大別して3種類。年末から2月にかけて収穫する抑制栽培、2~3月のハウス栽培、そして日置川地域で多い3~5月の露地栽培だ。
 JA日置支所管内では、約3㌶で50戸の農家が栽培する。品種には「矢田早生」、「きしゅううすい」、「紀の輝」があるが、これらを総じて〝紀州うすい〟と呼び、特許庁の地域団体商標に認定されている。
 今年は2月下旬からの低温により例年に比べて収穫が大幅に遅れたが、春の太陽をいっぱいに浴びた露地ならではの良好な色と味のウスイを消費地に届けた。

栽培 40年のベテラン手間かけ高品質生産を  

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 「ウスイ栽培への愛着は誰にも負けない」と胸を張るのは、この道40年になる白浜町塩野の榎本勝介さん。勤めをしながら母親の手伝いをし、退職後から本格的に取り組んだ。
 「手間をかけるほど良いものができる」と信じて疑わない榎本さんは、新聞や情報誌でウスイに関する記事があると、切り抜いて参考にしたり、実際に試してみたりと研究熱心である。
 今年は、長年作ってきた「きしゅううすい」を「紀の輝」に切り替えた。播種から収穫までの期間が1カ月ほど短縮され、サヤが大きく増収につながるなど、品種特性を実感した。
 「元肥を少なくし、生育を見ながら追い肥をやるのが秘訣」「チッ素分を控え、アヅミン系の肥料を併用すると良い」など、高品質栽培に向け試行錯誤は続く。
 榎本さんの熱心なウスイ栽培をサポートするのが妻の雅代さん(61)だ。「主人はウスイの出荷を毎年心待ちにしています。私はそれについていくだけ」と言うが、嫁いだ当初から義母と一緒に作業し経験を積んできた〝ベテラン〟でもある。
 傷物など出荷できないウスイは、豆ご飯や卵とじなどに調理する。「料理は得意ではないですが、作業を楽しんでいる主人を少しでもバックアップできたら」と雅代さん。出荷作業で忙しい中、家庭での食卓はほっと一息つける瞬間だ。

高齢化で生産量は減少産地維持に経験を注ぐ  

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 日置川地域における生産量のピークは30~40年前で、それ以降、生産者の高齢化とともに減少傾向だ。この状況に、現在、日置の豆部会の部会長も務める榎本さんは、新規での露地ウスイの栽培を呼びかけている。
 梅の収穫までにつなぐ品目として提案したり、作業の省力化も紹介する。ウスイが日置で〝適地適作〟だということを長い経験の中で証明しているからだ。
 榎本さんは「最近は高級食材として消費が拡大し、価格も安定している。まだまだ需要は伸びるだろう」とみている。そのためには、まとまった数量と高い品質が求められる。
 個々ではなく、地域で取り組むからこそブランドが生まれる…。そう考え、栽培歴40年の経験と、常に良いものを作ろうとする向上心を、産地の維持、発展のために注いでいる。
 「昨年より今年、今年よりも来年良いものを作っていきたい」と話す榎本さん。年は一つずつとるが、経験もまた1年積み重なっていく。来シーズンも今から待ち遠しいことだろう。
(写真・文=編集部・竹内一寿)

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