JA紀南広報誌

2008年10月号p07-01

2008年10月号もくじ

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常務(企画管理本部長) 山本 治夫
「減損会計」について  

 バブル崩壊後、金融界の経営を大きく揺るがした不良債権問題があります。当時、その不良債権処理は遅すぎるのではないかとアナリストなどから批判されていました。
 しかし、一部公的資金も注入されながら、何とか処理も終えたことから、今サブプライムローン問題が起きているものの、低金利の追い風にも支えられ、金融界は好決算が続いています。
 JA紀南も合併(平成15年)以来、資産査定要領の変更もあり、貸倒引当金では相当苦しい決算を余儀なくされてきましたが、決算上の不良債権処理は何とか峠は越えたのではと判断しています。
 しかし不良債権の処理に代わってバブルの清算がもうひとつ迫られています。それは平成17年度決算から導入されている「減損会計」です。
 戦後、地価をはじめ、日本経済全体が右肩上がりで拡大しているときは想定もされませんでしたが、バブル崩壊後、経済のひずみが調整される過程で、複式簿記でいうところの資産が適正に表示されているかが問題とされ始めました。
 バブル華やかしき頃は、財務諸表に実勢価格より、はるかに小さく表示される土地が多かったことから、含み益経営として日本経済の強さの秘密のように言われました。
 しかし、いざバブルがはじけると地価は下落し続け、実勢価格が帳簿価格を割り込んだ資産(土地)は逆に含み損を抱えた状態になって、現在に至っています。
 「減損会計」とは前記のような含み損を清算するとともに、資産は利益を生んでこその資産であって、利益を生まない資産は資産ではないという思想のもと、収益性が低下した施設は廃止も視野に入れ、資産を実態に見合った価値まで減価する手法です。
 とりわけJA紀南は多くの資産を保有して事業を行っていることから、すでに一部の資産は減損処理を進めてきています。しかし今の地価の状態が続くとすれば、遊休土地の含み損や不採算事業(所)など、これからも多くの資産が減損処理の対象となってくる可能性があります。
 JAを取り巻く環境が激変し続けている時代にあって、ひとつの事業が永遠に収益を上げ続けることはあり得ません。収益を上げ得るサイクルも短くなっています。
 今盛んに言われるゴーイングコンサーン(JAの永遠の継続)に向けて、投下資本を速やかに回収し、そしてスクラップ(廃棄)とビルド(新設)をいかに適切に判断し、施策を講じていくか。そのことが組合員の利益を守ることになるわけで、まさにJAの経営力が問われている時代と考えています。

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