JA紀南広報誌

2004年9月号p06-01

昨年12月から稼働開始  

御坊火電の脱硫装置視察 生産者とJA理事ら27人  

 梅生育障害の原因究明と対策確立に取り組んでいる田辺うめ対策協議会(会長=中家徹JA紀南組合長)とJA紀南の梅生育障害対策特別委員会(岡優生委員長)は8月6日、27人が関西電力の御坊火力発電所に昨年12月完成した排煙脱硫装置を視察した。

 設置にはJA運動も関係

画像の説明

 御坊火電に脱硫装置が設置されるまでの経緯には、「安心して梅を作りたい」という旧JA紀南の組織運動も深く関係している。
 梅枯れが急増のさなかの平成9年、旧JA紀南は原因究明までの御坊第二火電の建設延期と火電への脱硫装置設置などを関電に求め、田辺市民などの5万4千余の署名を提出した。署名は田辺・西牟婁関係JAの賛同を得た運動だった。
 その後、御坊第二火電の建設に県のゴーサインが出てしまったが、組織運動の一定の成果として、脱硫装置設置と設備改善などに関電が取り組むこととなった。
 第二火電建設にともなう既設火電の大気環境保全対策は、3号機の排煙脱硫装置設置により硫黄酸化物排出量を火電総合で30%削減、また排煙脱硝装置を改善し窒素酸化物の排出量を20%削減、電気集じん装置を改善しばい塵排出量を33%削減するというもの。
 排煙脱硫装置の設置は平成11年4月に工事着工、当初予定していた14年10月の稼働は、「60万㌔ワット出力時に二酸化硫黄濃度が定格6ppm」という所定の性能が出ず、抜本的な設備対策を行い14カ月遅れて稼働を始めた。また、1号機~3号機への排煙脱硝装置と電気集じん装置の設備改善は、平成11年4月に工事着工し、13年3月から稼働を始めている。
 視察一行は、関電から脱硫装置等の概要と稼働開始が遅れた理由などの報告を聞いた後、現場を見学した。
 脱硫装置は、排ガス中の硫黄酸化物を石灰乳液に吸収させる仕組み。電気集じん装置と煙突の間の工程にあり、敷地は80㍍×100㍍、最大高三十㍍の大きな装置で、一同上を見上げながら説明に聞き入った。

梅農家の疑念は根強く

 関電との質疑応答の時間も持たれた。今年度の各発電機の稼働日の質問には「4月から6月はほとんど動かず、7月に入って1号機25日、2号機7日、3号機24日の稼動だ(視察日現在)」との回答。視察の約1カ月前に新聞報道のあった関電のデータ不正報告問題にも生産者は言及、関電から事情説明がなされた。
 さらに、梅生育障害が未解決の中、梅農家の大気汚染疑念は根強く、それを明らかにする手段として求めている暴露実験実施のためのばい塵の提供に関しても要望を投げかけた。
 生産者は「脱硫装置の付いていない1・2号機の運転にも農家は危機感を感じている。ばい塵をもらって実験しない限り火電は関係ないと言えない」と質問。
 関電側は「仮に実験した場合のばい塵の現地濃度への希釈の技術的な難しさがある」「科学的根拠の裏づけができる実験である確証が現状では持てない」と答えるにとどまった。
 視察後、生産者らの会話からは、梅枯れが全体的にピーク時より減っている中だが予断は許されず、障害発症や梅の木の健全さの観察とともに、ばい塵提供の要望はねばり強く続けるとの強い気持ちが読みとれた。

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