JA紀南広報誌

2004年9月号p02-01

紀州産拡販、低迷歯止めの年に  

JA梅部会代表が梅干組合と懇談  

タル価格協議参加、来年実現へメーカーは打ち勝つ農業基盤要望


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 JA紀南の梅部会(浅井洋司部会長)と梅干分科会(山下哲生分科会長)は8月10日、営農生活本部会議室で紀州田辺・みなべの両梅干協同組合(梅加工メーカー)の代表と懇談会を持ち、梅干し流通の現状や価格安定課題について意見交換した。前年より4000円下げの9000円の今年のタル価格を受け、メーカー側は「拡販に打って出、低迷歯止めの年にしたい」との決意を明かし、生産者側に理解を求めた。また、来年から生産者代表も参加したタル価格協議の場を設ける方向で意見が一致、従前からの生産者側の希望が実現する見通しで、双方に実りのある会合となった。

今年のタル価格を受けて

 懇談会にはJA紀南の梅部会・梅干分科会の役員と紀州田辺・みなべ梅干し組合代表の32人が出席。JAの坂本守営農本部長ら担当役職員10人が同席した。
 梅干し流通の現状についてメーカー側は、昨年の1タル1万3000円の原料価格の影響を踏まえ、「通販は値上げか量目調整でしのいできた」「昨年は原料不足で紀州物は売り止めの現状だった」「昨年の原料が今年10月まであるほど売れていない」「今年の中元はかろうじて前年クリアか3%減と聞く」と続けた。
 一方、生産者側は今年の価格下落に十分納得できない状況。「4000円の下がり幅にビックリした」「申年の梅に期待もあり、価格安定を望んでいた」「生産者も納得できるよう、通年で8000円から1万1000円の幅を希望したいところだ」と訴えた。
 メーカー側は1タル9000円を妥当な線と受け止めており、生産者側に理解を求めた。そのうえで「今年は〝紀州〟を前面に出して販売を伸ばしたい」「この原料価格で販路の拡大が期待できる」と、価格高で奪われていた紀州梅の売場の奪回に向け意欲を見せた。

価格協議参加を申合わせ

 原料の量と価格の安定は生産者もメーカーも望むところだが、年ごとの豊凶による価格の乱高下があることや、相場の動きによって生産者から出回る量が変わることも課題となった。
 タル価格の決定のプロセスについてメーカー側は「これまでは梅干組合がリーダーシップをとって方向を決めてきたが、来年からはJA紀南・JAみなべいなみの生産者代表も協議に入ってほしい」と提案。
 「みなべでは4年前から梅干しに関して生産者・メーカーで200人規模の会合を開いており、価格決定参加の要望も出ている」との報告もあった。
 生産者側も意見を全面的に歓迎。「農家の気持ちもすべてそこにあった」と述べ、来年から梅干組合と生産者による価格協議の場を持つ方向で申し合わせた。

新興産地にすき与えず!

 近年「紀州梅」以上に「南高」の知名度が上昇し、九州などの他地区産でも「南高」の名前で売れていることをメーカー側も警戒。「九州産の『南高』も質が良い。もう紀州産、中国産の販売のすみ分けはできており、これからは国内での戦いだ」と述べた。
 紀州産のグレードを維持するにあたって、D級の商品化は「紀州南高」のイメージの足を引っ張っているとの認識があり、双方でも十分な検討の余地があるとした。
 そして生産者側には、紀州産の持ち味を発揮し、国内の新興産地に台頭のすきを与えないためにも、安定価格で紀州梅干しを生産する努力を促した。
 急傾斜地でも軽トラが入れるような基盤整備を小規模であっても促進する、収量の連年安定のための土づくり(土壌改良)や受粉樹導入の技術対策などだ。
 メーカー側は「日本農業はGDPの1%でトヨタ自動車一社と同じ。食料自給率は40%、WTO農業交渉でさらに外国との垣根がなくなる。当地が〝梅半島〟として強く生き残るため、例えば8000円でも梅干しを作れるような農業基盤づくりに努力してほしい」と生産者側に要望した。

商品の中間コストは何が

 反対に生産者側からは「梅干し商品の小売価格が原料価格の何倍にもなっている。それだけ中間コストが要るのはなぜか」とメーカー側にただした。
 メーカー側は、商品流通の一例として「商品出荷先の相手が、プライベートブランド(PB=小売側の商品ブランド)なら相手のマージンはこれまでで35~40%、いまなら50%は取られる。ナショナルブランド(NB=梅干しメーカーの商品ブランド)でも取引先は40~50%は取る。さらにベンダー(販売代理店など)を経由すれば20%の上乗せだ。宣伝広告費もかかる」「歩留まりが悪いなど原料も安定しない。環境対応へ浄化槽の設備投資にも経費がかかる」と説明した。          

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