JA紀南広報誌

2004年5月号p39-01

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田中 尚子


わが家に梅もぎツアー

田舎の小さな農家に生まれ、幼い頃から母の苦労を見て育った私は、将来決して農家には嫁ぐまいと思っていたのに……。確かに結婚当初は、主人はサラリーマンだったのですが、いつの間にか兼業農家となり、気がつけばしっかり専業農家の農婦になっていました。
 でも、もともと土いじりが大好きな私は、子どもの頃は大嫌いで苦しかった農作業が今は楽しく思えるようになっています。昔と違い農作業の大半が機械化されて楽になり、特にわが家は梅だけの栽培なのでそう感じるのかもしれません。
 さらに、農業をする中で一つの転機とも言える出来事が舞い込んできました。平成4年に入植した秋津川パイロットを中心に主人と二人で梅栽培をしていますが、そのわが家の梅園に平成13年、梅もぎツアーのお客さまが京阪神方面から訪れることになったのです。
 そこそこの園地の広さと、大型バスが横付けできる立地条件が良かったからと思うのですが、何しろ初めての経験。初日は自分の梅採り作業も休み、高みの見物をしようと決めていました。
 当日、JA職員の方々が手伝いに来てくれましたが、何しろお客様が200人という大人数で、てんやわんやの状態となり、急きょ私たちも梅もぎや量り売りの手伝いをすることに。一方のお客様といえば、ポリ袋にあふれんばかりの梅を手に喜ぶ姿が印象的でした。
 2年目、豊作で少し小粒の梅でしたが、11台のバスで350人ほどのお客さまが来てくれました。この年は田辺ボランティアガイドの方々が園地の案内や採り方の指導をしてくださったおかげで、私たちは梅採り作業に専念できました。
 3年目の昨年、4日間で15台のバス、600人がわが家の園地に足を運んでいただきました。JA紀南全体では3000人もの方が訪れたようです。年を重ねるごとに体験者も増加し、とてもうれしい限りです。
 ただ、反省すべき点もあります。昨年は決して手抜きをしたわけではないのですが、風雨の日が多く、特にパイロットは風当たりが強かったため、灰色かび病とかいよう病のダブルパンチに見舞われました。
 一度来ていただいたお客さまからも「前は大きくてきれいな梅だったのに、今回はきたないね」と言われ、情けない思いでいっぱいでした。今年こそきれいな梅をもいでいただけるよう、しっかり手入れをしなければと意気込んでいます。
 梅もぎツアーでは直にお客さまの声を聞くことができ「がんばって良いものを作ろう」という思いが一層強くなりました。この経験と気持ちを、梅もぎツアーだけでなく普段の農業にも生かせたらと思っています。
 間もなく今年の梅もぎツアーが始まります。体験者が再びこの地に訪れたいと思っていただけるよう、紀南の梅の良さを大勢に知ってもらえるよう、日々の梅作りに励みたいと思うこの頃です。

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