JA紀南広報誌

2004年5月号p12-01

広大な開墾園と大規模加工施設  

梅部会役員らが中国の梅主産地へ 視察レポート  


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 JA紀南梅部会(浅井洋司部会長)と梅干し分科会(山下哲生分科会長)は3月17日から19日にかけて、役員ら17人が中国の梅産地を把握するため、中国で最も梅生産の盛んな福建省の廈門市郊外と詔安縣の太平郷などを視察したので報告する。(営農指導課・堀修実)


関空から3時間で廈門に 加工業者が直営の梅園へ  

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 関西空港から飛行機で約3時間、私たちは福建省の廈門空港に到着後、バスで移動し廈門市郊外の梅加工業者が直営する梅園を訪れた。
 山間地を開墾しており面積は156㌶。植栽品種は「白粉梅」「青竹梅」「白粉青」だ。バナナ園の向かいの巨大な岩がむき出した丘に延々と梅が植わっている。私たちは岩山の赤土を重機で無造作に階段園地に造成しているその梅園に入ったが、土壌は第三紀層のようで田辺の地質に近い。黄褐色で岩石は砂岩だ。
 樹齢は5~6年生で間引き剪定、樹冠内部の日当たりは良い。剪定枝はほったらかしていた。樹皮の色は赤く樹勢は良好。除草剤を使っているようだ。果実の大きさは赤道部で直径15~20㍉で病虫害はまったくなく、防除して間無しなのか果実に薬斑が着いていた。
 着果はまずまず良好で樹冠内部を中心によく成っていたが、木による着果のバラツキがある。豊作ではないが平年作というところか。今年は少雨とのことで川の水も少なく、土もかなり乾いていた。2週間後に収穫開始だと言うから、かなり小玉傾向になりそうだ。
 ガイドの易(イー)さんによると、訪問時は乾季で2週間前に少し雨が降った程度。今年1月に大寒波に見舞われたと言うが、付近のスターフルーツ、マンゴー、梅に被害はなく、唯一バナナの葉が寒さで枯れ葉になっていた。

詔安縣は中国梅の大産地ライチ増え、バナナ粗放  

 翌日は中国の梅の大産地である詔安縣の紅星郷と太平郷に向けてバスで高速道路を移動した。
 詔安縣は福建省の最も南寄り、広東省の汕頭市と廈門市の間に位置し人口は56万人。梅の作付面積は約4千㌶、そのうち主産地の紅星郷が2100㌶を占める。気候は亜熱帯で年間降水量1700㍉、年平均気温21度と暖かい。
 廈門市郊外から詔安縣にかけての水田にはグリーンピース、キャベツ、ターサイ、ホウレンソウ、レタス、カリフラワー、ブロッコリーなど換金作物の野菜が多く栽培されていた。
 ライチ、バナナ、梅などの果樹園も多い。特にライチの生産意欲が高く、1年生の苗を定植していた。バナナは安くて採算がとれないと言い管理も粗放だった。梅は2~3年生以上が水田や畑に植わっていたが、1年生苗は見られなかった。またライチの成木園に梅が混植されているのが目についた。
 易さんによると、経済特区など情報の入る沿岸部では、輸出を含む都市近郊型農業が展開され、収益性の低い米から有利な園芸作物に転換されているが、少し奥地に入ると、まだ米主体に作付けしている農家が多いとのことだった。

梅干し3千㌧生産の加工場 品種は「青竹梅」 「白粉梅」  

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 詔安縣紅星郷は道路工事中で入れず、次の予定地で隣村の太平郷の「詔安榮祺食品」を訪れた。
 台湾資本の会社の子会社で1998年に創業。敷地面積は4万平方㍍、収穫期の従業員は250人(訪問時は80人)だ。梅干しは全量が日本仕向けで3千㌧。塩蔵ショウガも4千㌧加工する。
 加工施設の規模は大きく、45㌧漕と60㌧槽を備え、計3千㌧の漬込能力だ。梅干しの選別はザルを直接あけこんでコンベアの流れ作業で行っている。「南高」の梅干しなら果皮が薄く無理である。
 梅の収穫は4月5日から1カ月間とのこと。主力は「青竹梅」で豊作だが少雨で小粒のようだ。価格については今年は未定だが、昨年は1㌔4元だったとのこと。これに対し、ライチは20元、リュウガンが30元だったと聞く。職員の日当は30元との話だ。
 試験圃場で「白粉梅」「青竹梅」などを見たが、「白粉梅」は着果良好で果実肥大も良く、毛じは残っているが、収穫時期が近いと分かった。
 付近の水田転換梅園も見たが、木は無剪定で、収穫時に手が入らないのではないかと思うほど枝が混み合っていた。この園でも薬斑が鮮明に分かり、防除直後と思われた。未舗装道路のため実に土ぼこりが付いていた。
 私自身、この地は5年前以来の訪問だった。当時と違うのは、道路舗装や橋りょうの架け替えや建物の取り壊しと建築が進み、単車や自動車も急増中で、経済が発展している中国の勢いを感じた。
 中国の梅の増産はこれまで目を見張るものがあったが、ここにきて日本への輸出の環境変化(安いだけでは日本の消費者は買わないなど)、高単価のライチの影響で梅の増産に陰りが見え始め、今年が豊作ならば梅の単価はある程度低下するのではないかと感じた。
 今後も私たち紀州の梅産業にとって中国梅の影響は大きいと思うが、JA紀南の梅・梅干し生産においては、「安心・安全」は当然のこととして、生産量の拡大と安定生産がより重要になる、そんな思いを抱きながら視察を終えた。

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