JA紀南広報誌

2004年5月号p09-01

両国の相互理解と連携へJA代表団でタイを訪問  

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JA紀南青年部 原拓生

東南アジアとのFTA(自由貿易協定)交渉の本格化を前に、JAグループでは、交渉が国内の農業者にとって真に利益となるよう関係国との相互理解と連携を構築するため、このほど代表団をフィリピンとタイに派遣しました。私もその一員として4月4日から7日にかけてタイを訪問。現地ではタクシン首相はじめ、農業・大蔵・商務の各大臣との会談が実現しました。
 WTO(国際貿易機関)の交渉がメキシコ・カンクンの閣僚会議で決裂して以降、国際貿易交渉の進展がないため、連携できる二国間貿易の取り決めであるFTAに世界の関心が大きく移ってきています。
 日本はそれまでWTOを補完するための機能としてFTAを位置づけていましたが、いまの世界の流れの中、今後急速にFTAを東南アジア中心にまとめていくようになるでしょう。
 タイとのFTA交渉では、日本側は自動車などの工業製品とサービスや投資等の自由化、タイ側は農産品とタイ式マッサージ師、看護士・介護士、調理師等の自由化に強い関心を持っています。逆に自由化が難しいと考えているのは、日本側は農林水産品、タイ側は自動車や鉄鋼製品です。
 私たち日本の農業者は、工業製品輸出の見返りに安価な農産物が大量にこれ以上流入してくることを理解できません。今回の代表団としても、タクシン首相はじめ各閣僚に日本農業への理解を求めつつ、「工業と農業は違う」「両国の対立構造よりも協力関係が必要」などと訴えました。
 タクシン首相からは「両国の農業に影響を与えないようなバランスが大切」「特定の分野に影響が出ないようにすべきで、米などのセンシティブ品目(一部の未加工農産品)にも影響を与えないようにすべき」「食品衛生の問題などへの対策が必要」「日本の技術を活用した農協間協力や交流が必要」との発言がありました。一方、日本で生産できない熱帯産品の輸出に対する期待感が表明されました。
 最終日、でんぷん加工プラントと、キャッサバ(でんぷん原料イモ)、熱帯果実の生産農家を訪問しました。
 そこで見たのは、タイの農業者は非常に低賃金の苦しい生活で、農協もあるのですが、営農発展の要である金融融資を事業として持ち得ないため、農家が資金を得られないという苦悩を抱えていました。
 そのため加工業者などによる中間搾取が行われ、その過程で生産される安価な農産物が「国際競争力のある価格」となって輸出されているのではと感じました。
 このような環境を変えるためにも、農協間協力は必至だと感じました。そのことが、両国農業者にとって真に利益となる経済連携(EPA)になるのではと思って帰国しました。
 私としては、青年農業者同士の連携を図れないかと思い、世界青年農業者大会の宣言文を持参し、タイの協同組合の方々に、タイの農業青年組織の確立、アジアでの連携を将来的に模索していきたい旨のお願いをしてきました。
 アジア各国とのEPAやFTAは、メキシコとは違い、アジアモンスーン地帯で同じ価値観を持った国同士での交渉ですので、両国の利益になる自由化と協力のバランスが重視されるだろうと感じました。もちろん、日本の農業者にしわ寄せがありそうなときは、組織あげてさらに声を高めていきたいと思っています。
 紀南の農業にとっては、ミカンなどが、熱帯果実の輸入拡大による日本国内での競争が予想されます。しかし、逆に考えれば、高品質で安全性の高い果実や梅干しも輸出できるチャンスが生まれるのです。
 東南アジアは経済発展にともない、富裕層が急増しています。彼らは日本の高品質な農産品に大きな興味を持っています。また、日本のテレビドラマやマンガの普及で日本の文化にも興味を持っています。
 日本の食文化である梅干しの海外市場の開拓も十分できる環境ができあがっています。産地としてそういった戦略を打ち出せるかも、今後の生き残りをかけた道のひとつかもしれません。
(全国農協青年組織協議会会長・Eメールアドレス=hara@cypress.ne.jp

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