JA紀南広報誌

2004年5月号p04-01

生育不良の原因究明に期待  

県うめ研究所が南部川村に開所  

 梅の高品質・安定生産技術、生育不良の原因究明と対策確立を研究の柱とした和歌山県の「うめ研究所」が4月28日、南部川村東本庄に開所した。昭和60年代に発生した梅生育障害が未解明で、大産地にもかかわらず梅の基礎データの蓄積不足が指摘される中、生産者やJAが専門の研究所設置を切望していた。国内では2例目の単品目の研究所は生産者の期待を一身に背負って動き始めた。


高品質・安定生産技術の確立めざす3㌶の圃場も備え産地立脚の研究  


画像の説明

 完成したのは和歌山県農林水産総合技術センター果樹試験場「うめ研究所」(山田知史所長)。
 県が産地の強い要望を受け、平成12年度に行政やJA、梅干協同組合による協議体を設けて準備を進めてきた。設置場所の選定では専門チームを組み、梅産地密着型で生育不良解明に向けた早期研究着手が可能なこと、灌がい用水が確保できる等の条件をクリアした南部川村に決定した。

7㌶に試験温室や圃場15 人体制で専門的研究  

 県の総事業費は6億5800万円。そのほか南部川村が用地買収と造成に5億5300万円を投じ用地を県に無償貸与している。
 施設の敷地面積は約7㌶。研究棟は紀州材を使用した木造と一部鉄骨の平屋造りで、本館、果実調整、営農管理の3棟で計1415平方㍍。試験温室は、ライシメーター、環境制御、土壌水分調整、育苗・増植、病害虫の5室で1390平方㍍ある。また3㌶の試験圃場はテラス園、平坦園、傾斜園などを設けている。
 梅専門の研究体制として、御坊市にある県暖地園芸センターのうめ部を拡充、職員を4人増員した15人を研究所に配置している。
 研究課題は①梅生育障害樹の発生原因の解明と対策技術確立②連年高位安定生産技術の確立③DNA検定による有用物質の探索と系統選抜④環境保全型防除技術と施肥管理技術の研究⑤加工用途別果実の省力的安定生産法の研究など、梅の生理、栽培、病害虫、土壌・肥料、育種といった各方面から広範な研究にあたる。

地域に開かれた施設に木村県知事らあいさつ  

 4月28日の開所式は、木村良樹県知事、山田五良南部川村村長、谷本正富JA和歌山中央会長ら行政・JA関係者、設置協力した地元農家ら約70人によって行われた。JA紀南からは中家徹専務が出席した。
 木村知事は「日本一の梅産地に研究所を設置できた喜びは大きい。地域に開かれ、地域に根ざす運営に努め、生育不良の早期解明、消費者ニーズに合った梅の研究を進める」とあいさつ。
 山田所長は「基本構想からわずか4年での開所に関係者の熱い思いを感じる。地域に密着し梅産業発展のため研究にまい進したい」と決意を述べた。
 来賓を代表して山田南部川村村長は「産地の中に研究所が欲しかった。経験と勘に頼った梅栽培の学術的、科学的研究を望む。特に梅枯れは農家も手に負えない問題であり、腰を据えて当地梅産業の基盤を造ってほしい」と期待を込めた。

実用レベルの技術還元を原見生販連協委員長語る  

 JA紀南でも梅生育障害の原因究明と対策確立は、組織挙げて長年取り組んできた最重要課題である。今回の研究所開所についてJA紀南生産販売委員会連絡協議会の原見忠雄委員長は「紀南地方の農業と経済を支える〝梅〟について、安定生産や品質向上技術を専門研究する施設は農家もずっと望んでいたこと。研究した技術も何より農家が実用可能なレベルにしての現場への還元を求めたい。昭和61年の山桜の異変から始まり紀南に広がった梅生育不良も未解明のままであり、原因究明とともに環境に強い台木作りなど対策研究の前進を研究所に強く期待したい」と語っている。

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