JA紀南広報誌

2004年3月号p14-00

営農地区懇Q&A  

JA紀南では1月に各地区で「営農地区懇談会」を開催、春夏期の肥料・農薬予約説明とともに、営農面に関するご意見・ご質問をお受けしました。皆さんから共通して多かった質問事項を整理し、本誌であらためてお答えします。

問い……農薬の散布基準に収穫前日とあるが、「前日」の意味は。また、作物により農薬安全使用基準が異なるのはなぜか。
答え……収穫「前日」の意味は、収穫する24時間前という意味です。しかし、散布量の過多や天候の違いで残留する恐れが無いとは言えませんので、前日の基準でも、散布から収穫まで数日は空けていただきたいと思います。
 次に国が定める農薬安全使用基準ですが、作物によって異なる場合があります。それは、基準の設定が、その農産物に使った農薬を一生涯摂取し続けても慢性毒性が出ないという量を求める試験から始まっているからです。
 そして、この値に100分の1をかけたものを、ADI(1日の許容摂取量)と言い、毎日の食生活において、食品中に含まれる農薬の合計がADIを越えないように農薬の希釈濃度や使用量が決まります。それが「農薬の登録保留基準」です。
 しかし、この基準だけでは、農産物の輸出入で不都合が生じるため、国際的に通じる残留農薬の基準が必要です。これが「残留農薬基準」で、登録保留基準よりも優先されています。この使用基準が守られている限り食品の安全性は保証されることになります。


問い……ミカン園でのマルチ被覆効果はどれほど表れるのか。
答え……平成15年産のミカンについては、糖度だけを見たとき、マルチを被覆した園地と無被覆の園地では、期待したとおりの成果が見られなかった園もありました。その理由は、一部の園地を除き、マルチ被覆時までに降水量が多かったことと、被覆後も収穫まで多雨や加湿によって樹体に水分ストレスがかからず、糖度上昇に結びつかなかったためです。

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 しかし通常の年では、マルチの効果は0・5~1・5%の糖度上昇が期待できます。生産者の取り組みの多少や園地の条件によっても異なりますが、極早生、木熟ミカンとも、無被覆に比べ糖度と着色上昇の結果が得られています。
 JAでは平成15年度の結果を反省し、16年産の高品質栽培に向け、マルチの被覆時期をできるだけ早めることと、全面被覆を推進しています。


問い……ミカンの上部全摘果の効果と適期はいつ頃か。
答え……早生・木熟ミカンでは、糖度や品質を高めるためと、特に隔年摘果を軽減対策とあわせ、上部全摘果をすすめています。上部全摘果は7月中に行い、木の上部50%~30%の果実を全摘果するもので、中下部の仕上げ摘果は、肥大を見ながら9月~10月に行います。
 また、めいっぱい結実させて木に負担をかけるよりも、上部摘果で糖度が0・5%程度高まることも明らかになっています。ミカンの主産地である愛媛県や九州でも上部全摘果の技術が取り入れられており、さらに作業時間の短縮にもなりますので、早生・木熟ミカンにはぜひ取り入れてください。
 一方、極早生ミカンでは、生理落果が終了した6月下旬から粗摘果を始め、M果中心の生産をめざしてください。


問い……温州ミカンのサビダニを上手に安く抑える方法は無いか。
答え……サビダニは近年各地に広がり、かんきつの難防除害虫となっています。サビダニの防除は、6月下旬のケルセン、またはサンマイトで防除して虫密度を抑えること、状況によって秋にもコテツでの防除が必要です。


問い……梅干しのケシキスイ対策で効果のある方法はないか。JAや県での取り組み状況は。
答え……梅干しへのケシキスイ(虫)の混入については、食の安全・安心に関心の高い近年、消費者や業者からクレームが頻発しており、「梅干しが嫌いになった」「これから購入しない」との声も聞かれ、梅の消費拡大を図る中、大きな問題となっています。

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 JAでは、県と一体になってケシキスイの生態調査や対策の試験・調査を進めてきました。当面は次のようなケシキスイ侵入防止と排除の対策をお願いします。
 ①ケシキスイは、園内にいる幼虫がはって来て果実に侵入することが多いため、梅干しの原料になる落ち梅の収穫にはネットを敷き、できるだけ梅が直接地面に接しないようにする。
 ②1日2回梅を拾うなど、拾う回数をできるだけ増やし、過熟果や傷み果を園内に残さない。
 ③落ちて数日経った古い果実や傷んだ果実については、梅園から離れた所に廃棄する。
 ④穴が開いていたり、傷のある落ち梅は、ケシキスイ侵入の可能性が高いため、漬け込み前の選果・選別を徹底し、傷んだ果実や古い果実、過熟果は除去する。
 ⑤山畑、山林近くのケシキスイの多い園では、収穫直前と7~10日後にアディオン水和剤2000倍(10㌃当たり300㍑)を同時防除として散布し侵入を防ぐ。
 このほか、塩漬けや選別前に15~30分程度水に浸漬する処理により、半数以上のケシキスイの幼虫が果実の外に出てくることが分かったため、現在、落ち梅を水に浸漬する施設や作業体系を研究中です。新しいケシキスイ対策の農薬についてもこのほど試験が終了しており、梅への登録に向けて申請中となっています。


問い……梅の木の害虫、コスカシバ防除にスカシバコンを使用しているが、地区によっては被害が増えている。虫の特に多い地区は防除で減らすよう指導しているが、殺虫剤とスカシバコンの併用は経費がかかるので、効果的な対策をJAで考えてほしい。
答え……一部の地域で平成10年、11年頃からスカシバコンの設置にも関わらずコスカシバが見られ、効果が不安定になっているとの報告を受けました。JAでは12年から試験圃場を設け、スカシバコンの設置本数を変えたり、コスカシバの密度を変えて設置する等の試験を県果樹試験場やメーカーと取り組んできました。その結果、全体としてコスカシバの密度はやや低下しましたが、解決といえる成果は導き出せていません。

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 改良タイプのスカシバコンの試験も行っていますが、16年の春の調査結果を待たないと傾向がつかめない状況です。
 スカシバコンは省力的で生産者にとっても安全な防除方法です。効果が安定している地域では、スカシバコンを10㌃当たり50本設置してください。
 スカシバコンの効果が不安定な地域では、春は虫糞を見つけて捕殺し、10月にガットキラー乳剤50倍を樹幹・主枝に散布して防除してください。なお、近年のコスカシバは2㍍程の高い枝にも侵入するため、濃厚な殺虫剤を散布することは飛散に注意が必要です。


問い……昨年は梅干しの果実にシコリが多かったが、どのような原因が考えられるか。
答え……梅干しのシコリの多発原因は、はっきりつかめていません。JA紀南、JAみなべいなみ、県果樹試験場などが梅生産者にアンケートをとり、現在集計を進めていますが、それだけで結論を導き出すのは難しい状況です。アンケート結果とあわせ、今後試験・調査を行い原因究明や対策を検討する予定です。


問い……梅の減農薬栽培があると聞いたが、良い試みなので、産地あげて取り組む予定はないのか。
答え……梅減農薬栽培は、旧JA紀南が平成10年から取り組み、14年には県の特別栽培認証を取得し、外部からも認められる取り組みとして拡大しました。

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 平成15年産の実績は、青果と梅干し原料用とを合わせて34農家が49園(12・3㌶)で取り組み、112㌧を出荷しました。
 慣行栽培と大きく変わらない病害虫の発生と品質でしたので、16年産ではさらに面積を拡大する予定です。加工梅の原料用は、JAの加工部が取引先と商談し、量の拡大に向けて取り組んでいます。
 減農薬栽培は、県が定める農薬の基準の50%以下に削減し、除草剤は使用せず、肥料は無化学肥料のオール有機配合等を使っています。JAは今後も栽培を拡大する予定ですが、グループで特別栽培認証を取得するため、全員が同じ農薬・肥料を使う等を申し合わせて取り組んでいます。


問い……アライグマ捕獲方法の検討や、捕獲オリの購入に補助金など出してもらえないのか。
答え……現在アライグマの捕獲対策には、JAと行政が協力し、移入鳥獣の根絶をめざして取り組んでいます。捕獲頭数は、田辺市で180頭を超え、日置川町、大塔村、上富田町でも捕獲されています。
 アライグマは繁殖率が高く、早めに捕獲することが最も有効です。特に繁殖期の1月から5月の捕獲が重要です。また、出荷されず野外に廃棄された農産物はアライグマにとって格好の餌場となりますので、エサを減らす環境づくりにも心がけてください。
 捕獲オリの購入については、現在、個人への購入補助金制度はありませんが、JA、各市町村に貸し出し用のオリを数基置いていますのでご活用ください。
 なお、アライグマ等、有害鳥獣の捕獲には市町村の許可が必要です。被害、捕獲についてのご相談は、お近くの市町村、またはJAまでお願いします。


問い……農産物の価格が安い中、生産資材の価格が安くならないか。JAの農薬は予約価格で商系業者との差があり、あとでキャシュバック(農薬奨励)するのなら、最初から値引きしてほしい。
答え……肥料・農薬などの供給において、JAと商系業者には、組織、理念、事業方式自体に大きな違いがあります。商系業者は、JAの価格や奨励対策を考慮し、個別に弾力的な価格設定で取り引きをしていますが、JAの方が安い資材もたくさんあります。
 JAは、地域農業の振興と地域社会への貢献、組合員の豊かな暮らしの実現に向け、さまざまな活動を展開しています。安心して使用できる資材の安定的な供給に加え、営農指導、地域の営農振興、生販・部会の対応、安全・安心の取り組みなど、商系業者にない機能を発揮しています。
 これら活動の原資は、組合員皆さんに利用結集いただいた成果(事業収入)で行っていることをご理解いただきたいと思います。
 また、農薬奨励(キャシュバック)は購買事業だけでなく、組合員皆さまにご利用いただいたすべてのJA事業にいたる協同活動の成果として、厳しい農業情勢の中、農業生産意欲を喚起していただくため支援しているもので、単なる値引きではないことも、あわせてご理解いただきたいと思います。
 新生「JA紀南」では、組合員皆さんの生産資材コスト低減のため、物流の合理化をはじめとする事業改革をすすめ、新しいメリットを実現できる体制作りを検討していますので、JAへのさらなる結集をお願いします。


問い……農家が購買窓口に行って肥料を直接引き取っても、どうして値引きはないのか。

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答え……個々による随時の引き取りでは、計画的な仕入れや欠品、破損、また倉庫の効率利用に向けた在庫管理も難しく、引き取りのメリットが全体として期待できにくいと判断しています。そのため、今後は、品目を選定した中で、指定日・指定場所引き取り等を行い、少しでも価格に反映できるよう検討してまいります。
 配送についても予約率を高め、配送の合理化方策を検討し、農家のコスト削減に努めていきたいと考えています。

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