JA紀南広報誌

2004年3月号p07-01

●学経役員連載コラム●  

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常勤監事 坂本 純生
消費者「不安」と食の役割

 企業の業績は、最終利益の大幅な増益基調となり、これまでのリストラ・コストダウン頼みから、売上増加へと転じているそうです。特に自動車・デジタル家電分野、情報通信産業が好調で、GDP(国内総生産)7%増の要因となっています。
 ただ、都市大企業の設備投資や経常利益は上昇とは言いますが、庶民が景気回復を実感するまではいかないようです。特に地方は、その兆候が伝わってくるまでには相当時間がかかると思われます。
 今春卒業予定の県内高校生の就職内定率をみても、前年の68%を1・7ポイント上回ったものの、県内の雇用情勢は過去最低だった昨年をさらに0・06ポイント下回っており、依然として厳しい情況が続いているそうです。
 今年は穏やかな正月で始まりましたが、北国では爆弾低気圧の到来などで思わぬ雪被害があり、農業関係ではアメリカのBSE問題で牛丼が消え、鳥インフルエンザが各地で続出。対応のまずさもあり、関係者においては「農」に対する信頼の失墜にならないように対策を講じていただきたいと願うばかりです。
 ある調査によると、将来の食料供給については、農業者・消費者とも9割以上が「不安に思っている」、40%という現在の食料自給率は「大幅に引き上げるべきだ」と8割以上の消費者が回答、農業者では9割以上がそう望んでいるといいます。
 日本の食文化は、今は欧米型になって日々の食べ物や日本料理の食材さえほとんどが輸入品です。いったん、何らかのトラブル発生すれば大慌てとなるでしょう。食糧の国際分業論もありますが、食の役割は価格や品質だけではなく、供給面でも安全・安心が求められています。
 やはり食料は国内で生産し、日本独自の自慢できる食文化を継続することが自給率向上につながると思うのです。世界のあらゆる食物を求めているのは日本だけです。外国では日本食が健康に良いと大好評で日本料理店が繁盛しているのも皮肉なものです。
 薬局で「外食コントロールブック」なるものを見ると、私の好みの食べ物がずらりと掲載されていましたが、いずれも脂肪やコレステロールの高いメニューばかりで、お勧め品はお茶漬けぐらいのものでした。これが日本人の肥満や高血圧の原因となり、子どもの成人病の増加にまでつながっていると思うと……。
 食が私たちに及ぼす影響は、健康ばかりでなく、近年では教育面での重要性が言われています。私たち紀南の住民としても、海岸線から山間部の豊かな自然環境を再認識し、JA紀南としても地域に開かれた「協同の力」で、子どもたちの農業教育に貢献していきたいものです。
 特に最近、老若問わず、日々の悲惨な事件を聞くとき、心豊かな人間育成に何らかの形で農業やJAが関わっていくことが、最終的には地域農業の発展につながっていくと思ってなりません。

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