JA紀南広報誌

2004年3月号p06-01

木の水分バランスの崩れを指摘  

農水省が梅生育障害で調査結果報告  

「火電と関連みられず」に農家の質問殺到

 梅生育障害の原因究明のため農林水産省が5年間実施してきた調査・試験結果の最終報告会が2月23日、JA紀南ふれあいセンター大会議室で開かれた。試験を担当した平岡潔志主任は「着果過多や土壌の乾燥・湿り過ぎで樹体内の水分バランスが崩れたときに梅枯れの発生が見られるようだ」と指摘。御坊火電のばい塵の影響に関しては「集積したデータ上ではその可能性は低い」との見解が示され、農家からは意見が殺到した。


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 この試験は、国の指定事業として御坊市の県暖地園芸センターで平成11年4月から5カ年計画で実施。梅生育障害の原因解明に向け、被害樹の解体調査や梅の生態特性、さらに御坊火電との関連性について調査してきた。
 平岡主任は、障害樹にみられる樹体内の水分バランスに着目。着果過多や乾燥、高温などで水分のバランスが崩れ、水の貯蔵機能や通導機能が低下、水分の過剰消費が樹勢を低下させていると指摘。「木は水を貯める機能、通す機能、果実を作る機能があり、このバランスが崩れたとき発症が起きやすい」と解説した。
 さらに「連年の収量過多が、心材(木部の中心部)の拡大を招き、過度の乾湿によって辺材(心材部の回り)が縮小し、水の通導性と貯蔵性が低下する。このため、葉の蒸散量に対して根からの吸水量が少なければ、道管内に過大な張力が発生して気泡が発生し、枝の先端部分に水分ストレスを引き起こす」と、木部のメカニズムの変化について補足説明した。
 このほか、田辺市の梅枯れの特性として「4年間の平均降水量が少ないと生育不良樹が多い」「4年間果実収量が多いほど障害の発生率も高い」といった統計データも付け加えた。
 一方、梅枯れと御坊火電との関連性については、長期的・短期的な影響などそれぞれ集積されたデータから分析を行ってきたが、「梅枯れが田辺市全域に顕著に発生したのは御坊火電が操業して10年ほど経ってからで、これが原因ならば長期的な要因と考えられる。しかし、近年発症が減った理由が、火電の操業が減ったからだとすれば、これは短期的要因で、双方に矛盾が生じるだろう」と、火電の操業率と新規発生本数が単純に比例しないとした。
 報告を受けた農家からは「火電との関連を、短期的、長期的要因だけで説明されても、納得できない」「梅の歴史が二百年以上ある中、雨量の多い年も少ない年もあったのに、梅枯れがなぜ最近になって発生したのか」との意見が飛び交った。
 今後、県では、4月に開所する県うめ研究所(仮称)でも梅枯れの原因究明対策を進めるとし、国に対してこの指定試験の延長について要望がなされており、引き続き、梅生育不良樹の症状の再現や対策技術の開発が進められる方向だ。

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