JA紀南広報誌

2004年3月号p02-02

魅力あるミカン作りに向けて  

産地の課題や活性化の道を探る生産者とJAが討論会開催

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 ミカンの販売価格が低迷する中、JA紀南は2月12日、管内のミカン生産者6人と指導・販売担当職員が本所営農生活本部ふれあいセンターで「ミカン活性化討論会」を開催した。参加者は、高品質栽培の必要性や、JAの販売・指導に対する要望、ミカン作りにかける思いなどをざっくばらんに語り合った。


 討論会の参加者は、細野さん、野村さん、志波さん、坂本さん、前田さん、東さん、 充さんのミカン生産者と、JAから指導部・販売部の職員。座長を坂本営農担当常務が務めた。

販売価格にメリハリを有望品種の導入も模索
 平成15年産の温州ミカンは、販売で苦戦を強いられ、県下の平均単価は1㌔当たり149円(県農扱い)。JA紀南は160円だった。価格低迷についてJAは「9月出荷当初から11月にかけて糖度が上がらなかったのが要因」と分析している。
 現在、紀南ミカンのトップバッターは9月中旬から始まる「宮本早生」や「日南1号」などの極早生だが、特に「宮本早生」は今年産でも基準以下の物が多く、市場からは「その年のミカン消費全体に影響する」と敬遠されている。
 これについて佐武篤販売部長は「『宮本早生』という品種が悪いのでなく内容のともなわない宮本が悪い。9月に勝負できるものは価格も良いが、基準に達する生産者は限られている。産地としては品種転換の方針で、どの品種かは試験結果や生産者の声を聞いて決めたい」との意向を伝えた。
 現在、極早生の品種の中で注目の「ゆら早生」については、生産者から「樹勢が弱いという問題はあるが、味は抜群で消費者にぜひ食べてほしい品種だ」との意見もあれば、「何でもかんでも『ゆら早生』は危険」との慎重な意見も出た。
 また、市場価格が落ち込む中、直売所やインターネット販売、個々の宅配など、販売方法の選択肢が広がっていることには「極端な話、直売所で品質の良い物を売って、それ以外をJAに出したり、今年は価格が良いからJA、翌年は市場へというのは勝手すぎ。もっと産地を背負う一人として共同販売をしっかり考えるべき」との意見が出た。
 しかし、生産者の所得が向上しないと生産意欲も高まらないことにも議論が集中。「JAの販売精算も、良いミカンは市場評価以上の値段をつけ、ダメなものはそれ以下にするなど、価格にメリハリを付けてほしい」とJA側に要望した。

ミカン作りはスポーツ品質アップにはマルチ

 JAでは昨年マルチ被覆を推進したが、結果的に全体の約15%にとどまった。小西指導部長は「マルチが対策のすべてではないが、現在最も品質アップの効果が期待できる」と進言。
 マルチの効果は、園地条件にもよるが、糖度・着色を向上させる手段として生産者に浸透している。しかし、被覆の労力や採算性、梅作業との兼ね合いなどが、被覆の伸び悩んでいる要因となっているとも。
 この点について東さんは「生産者が本気でミカンで勝負しているかがポイント。ミカンは梅にはない味で勝負せねばならず、いわばスポーツだ。ミカンのおもしろさは他産地と内容を競争できること。ただ単に作ってはダメだ」と訴えた。
 坂本さんも「ミカンで生きるには人一倍の努力が必要で、マルチは一つの手段。敷いた年に効果がないとすぐあきらめていては、いつまでも全体のレベルが上がらない」と付け加えた。
 JA指導員の役割についても、野村さんは「マルチを推進しても、指導員が園地などの把握についてどこまでチェックできるか。マニュアルを渡して、あとは個々で判断してというのではいけない」と指摘した。

意地とプライドを持って消費・販売現場に関心を

 梅が比較的高価格で、ミカンは低迷していることについて、坂本常務は「紀南にミカンは必要か。ミカン作りは皆さんにとって何か」と質問。参加者は口をそろえ「もちろん必要」と言い、「ミカン作りは農業者としての意地とプライドだ」と力強く答えた。
 梅主体の果樹経営の前田さんも「ミカン作りは、金だけでは替えられないものがある。作業的に梅の足を引っ張るかもしれないが、味に対するこだわりやおもしろさがある。これが本来の農家の醍醐味だ」との思いをうち明けた。
 細野さんは「梅とミカンは紀南を支える二大特産物。旧JA紀南管内では梅に転換する農家が増えているが、今でも極早生を植えたり、高糖系のミカンを作る人もいる。そんな意気込みが何より大切」と語った。
 また、中晩柑の導入をすすめる志波さんは「上秋津は晩柑の多い地区だが、価格もそこそこでおもしろい。他地区も中晩柑の導入を考えてはどうか。梅、温州ミカン、晩柑とつないで、周年的な果樹類の販売体制が成り立つ」と提案した。
  さんは「生産者は選果場に出したら終わりではなく、そのミカンが市場、量販店、スーパーを巡り、最終的にお客さんが買う。そこで初めて私たちがお金をもらうということを認識しなければいけない」と、生産者としての責任を自覚する必要性を訴えた。
 ミカン産地の発展のためには「生産者が販売にも関心を持って消費地に出向き、ニーズをつかむ」「ミカンで儲けた農家の事例をどんどん発信し、ミカンは良いということを認識してもらう」との意見も多かった。

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