JA紀南広報誌

2004年3月号p02-01

組合長・専務連載
画像の説明
画像の説明
JA紀南
JA紀南代表理事
専務 中家 徹


教  訓

 「一月行く、二月逃げる」とはよく言ったもので、年が明けてから本当に月日は早く過ぎ去った感じがします。昨年末から今年にかけて米国で発生したBSE問題とタイを中心に発生した鳥インフルエンザ問題は、あらためていくつかの教訓を示唆してくれました。
 まず一つは、食を海外に依存することの怖さであります。いま、日本の食料自給率はカロリーベースで40%と、先進国にあっては、最低レベルであることはご存知のことと思います。このまま食料の海外依存を続ければ、安定供給どころか、今回のような事態が起きれば、たちまち混乱を招き、食卓がおびやかされることになります。
 2010年に自給率を45%まで高める計画となっていますが、この調子で行けば高まるどころか現状を下回る可能性も予想され、現在、食料・農業・農村基本計画を見直す中、45%の達成年度を2015年に延ばすということで検討がなされています。
 一方では、WTO、FTA交渉が進められていますが、日本農業の現状や、特異性を十分認識し、考慮して、〝自給率を高める〟という強い信念を持って取り組まないとたいへんなことになるのではと心配します。
 今回の一連の問題を食料の海外依存を見直す契機とすべきで、農業は国の礎であることを、あらためて声を大にして、国民の合意形成に努める必要があります。
 また、リスク分散ということも教訓のひとつではないでしょうか。あの吉野家から牛丼が消えてしまいました。牛丼の単一メニューによる徹底した効率経営で利益を確保し、全国展開していた吉野家でしたが、今回のBSE問題で原料確保ができず、やむなく別メニューで対応せざるを得なくなり、大きな打撃を受けています。単一品目に特化し、専門的に効率運営を行うことは悪くはありませんが、今回のように何かことが起きると、たちまちたいへんなことになります。
 紀南の農業も梅、ミカンを核として多様な作目を組み合わせて営農を展開していますが、ミカンなどの価格低迷が続く中、梅への転換が進んでいます。有利作目への転換は当然の流れではありますが、農産物は生き物で、いつ何が起きるか分かりません。
 どうしても単一品目ではリスクがあり、特に永年作目については、複合経営が望ましいのではと思います。紀南農業にとって、ミカンはなくてはならない作目であり、いま一度、長期的観点から営農類型を考えてみることも必要ではないでしょうか。
 もう一点は、あらためて無視できないと思う「食の安全・安心確保」です。食の安全・安心には、マスコミをはじめ消費者は過剰とも思える反応をみせており、少しの問題も産地崩壊を招くことになりかねない今日であります。
 春の訪れとともに、防除の季節到来です。どうか適正防除に徹していただき「紀南の産物は安全で安心して購入できる」ということを消費者の皆さんに認識いただくことこそ、産地が信頼を得て有利販売につながることになります。
 果樹園芸産地であっても、BSEや鳥インフルエンザのような問題を来たさないよう、皆んなで確認し合い、JAの基本方針である「果樹を基幹とした日本一の産地づくり」にまい進しましょう。

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional