2004年10月号p08-02
臭化メチル全廃対応
土壌消毒の代替策を模索 効果は熱水、汎用性なら蒸気

土壌消毒などに使う農薬、臭化メチルが来年から一部例外的使用を除き製造中止になるのを受け、JA紀南では花き栽培圃場などでの代替策を急ピッチで模索している。熱水消毒と蒸気消毒の2つが有力で、今年の5月以降に現地処理を済ませ、花きの収量などで効果を見極める。1台約500万円と高額な機器購入対策として、補助事業の有効活用や共同利用(リース方式等)の検討を始めた。
臭化メチルは、JA紀南管内では、花きの萎凋細菌病やイチゴの萎黄病・炭素病、施設野菜など、多種類の病害虫や雑草に安定して効果を発揮する薬剤として使われてきた。
JAでは「全廃」対応として、太陽熱消毒でハウスの外側を断熱材で囲うなどの効果向上策、クロルピクリンなど代替薬剤の使用、抵抗性品種や輪作の活用などを取り上げるが、決め手に欠ける点があった。
そんな中、注目したのが、薬剤を使わずに環境付加が少ない熱水と蒸気による土壌消毒だ。代替策の早期確立を急ぐ花き部会が今年の収穫を済ませた花きハウスで実証試験を実施し、生産者に手法の長短所などについて説明した。
代替方法は、高温の熱水(90度前後)や蒸気(120度)をチューブ等でビニールハウス等の圃場に引き込み、熱水や蒸気で病原菌などを死滅させる方法だ。
熱水消毒は地中30~40まで効果があり、効果の持続性も高い。しかし、1平方㍍当たり150~200㍑と大量の水が必要で、傾斜地や水田のように透水性の悪い圃場では効果が劣るという弱点もある。
一方、蒸気消毒は、熱水よりも効果は浅いが、地中20㌢までの効果があり、使用する水は熱水の10分の1程度。傾斜地での使用も可能などが利点だ。
JAでは、効果が高い熱水消毒と、汎用性のある蒸気消毒の特長を生かし、管内の圃場条件に合わせた導入をしたいと検討している。
堀修実営農指導課長は「土壌病害虫は消毒が不完全だと、収量が半作以下や、蔓延すれば壊滅の事態も出かねない。農家が安定して施設栽培などを続けられるよう、コストを意識ながら早く代替手法を確立したい」と話している。