JA紀南広報誌

2003年9月号p04-01

残留農薬検査の稼働順調  

梅干しも出荷全戸からサンプル抜取り
JA紀南「食品安全分析センター」
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 JA紀南の「食品安全分析センター」が5月の小梅から本格稼働し、これまで順調に残留農薬分析を続けている。初年度の青梅は約250検体を検査したが「許容範囲を超える数値はまったく出ていない」と、JA紀南産の安全・安心を出荷先に証明。8月5日からはJAに出荷される全戸の梅干しの中からサンプルを抜き取っての分析作業に入っている。

 この施設は、昨年の無登録農薬問題発生を受け、旧JA紀南が残留農薬・無登録農薬の自主検査施設として、今年2月に田辺市中芳養の中芳養加工場内に開所、運用を新JAに引き継いだ。
 施設は鉄骨平屋建ての71
・6平方㍍。分析機器は島津製作所製で、150種類の農薬成分を一度に分析する「一斉分析装置」と、農薬の種類を絞り込み高精度で計測する「個別分析装置」の2つがある。最短2日で分析結果が出る。総事業費は約4200万円で、田辺市が分析装置に対して1千万円を補助した。
 センターでは開所後、専従者2人を配備して、今年産青梅からの本格稼働を視野にテストを繰り返し、検査・分析技術を確立した。

1日に4~6検体を分析

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 青梅検査では、選果場で抽出された検体が朝7時30分にセンターに到着。その日の昼間に前処理を行い、検体をセットすると分析装置が自動運転し、翌朝に測定データを解析し、残留農薬量などの結果が出る。
 検査項目数にもよるが、前処理は最も手間暇のかかる作業。溶媒液に果肉を入れ、農薬を抽出し、濃縮機で溶媒液を分離して小さなカプセルに入れるなど、約10種類の工程が必要だ。
 1日当たりの処理数は4~6検体で、センターでは一斉分析と個別分析を使い分け、初年度に約1千検体を検査する予定。分析農薬名は防除歴をベースに選定、無登録農薬も含むが、外部には公表していない。
 5月12日からの青梅、スモモを経て、7月はシソ、8月からは出荷が始まった梅干しの検査に着手した。梅干しも出荷全戸の中からサンプルを抜き取っての検査が来年春まで続く。9月からは主力作目である温州ミカンなどのかんきつ類も加わる。また、キュウリ、ナス、ピーマンなど野菜類の検査もすでに実施している。

出荷先にも安全アピール

 検査で安全確認した農産物等には現状、『安全証明済み』などの表示は特に付していないが、出荷先には生産履歴記帳、残留農薬自主検査、サンプル冷凍保管による3重の「安全・安心システム」による信頼性をアピールしている。小売り段階では検査済みの農産物であるとのポップ表示をしている店もあるという。
 また、無登録農薬や基準値を超える農薬残留が検出された場合は、それに該当する農産物の出荷・流通を停止、回収措置を講じるとともに、関係農家を含めて検出原因を調査・究明することとしている。
 JA紀南の導入した3重の「安全・安心システム」は、全国JAに生産履歴記帳運動が広がる中、それよりも一歩進んだ産地の信頼確保への取り組みだ。
 分析センターの林行則センター長は「淡々とこなす分析作業で何も出ないのが順調な証拠。自主検査を入れたことにより、防除など栽培履歴の記帳でも農家の意識が高まってきたと思う。梅やミカンなど培ってきた紀南ブランドに、いま重視される安全・安心が加ることで、有利販売に結びつけたい」と話している。

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